バーラージー・ヴィシュヴァナート

バーラージー・ヴィシュヴァナートの生涯と業績

バーラージー・ヴィシュヴァナート（1660年頃 - 1720年）は、インドのデカン地方に位置するマラーター王国の初代宰相（ペーシュワー）として知られ、多くの歴史的な足跡を残しました。彼の宰相としての在任期間である1713年から1720年までの間、彼は一族の権力を強化し、マラーター同盟を形成するための重要な役割を果たしました。

幼少期と青年期

ヴィシュヴァナートは、1662年1月1日にマラーター地区のバラモンカーストに生まれたとされていますが、実際の生年には諸説があります。彼はシュリーヴァルダンの地主であるヴィシュヴァナート・パントの子として育ちましたが、彼の幼年期と青年期についての詳細な情報はほとんど残されていません。彼の家族は当時のムスリムの迫害から逃れてデカン地区に移り住み、彼もまた製塩職人としてのキャリアを開始しました。

政治の世界へ

1689年頃、バーラージー・ヴィシュヴァナートがマラーター王国の役人として名を成すことになります。彼はラームチャンドラ・パント・アマーティヤの下で下級役人として働き始め、1695年にはデカンの州長官としての地位を得ました。この時期、彼はムガル帝国との密接な関係を築き、特に王子シャーフーとの連携を通じて信頼を得ました。ムガル帝国による圧迫と戦争の中で、彼はマラーター王国のために重要な連絡役を果たしました。

宰相としての役割

18世紀初頭、マラーター軍がムガル帝国に対して反撃を開始する中、バーラージー・ヴィシュヴァナートはシャーフーの支持を受け、彼と共に活動を続けました。1708年にはシャーフーが王位に就き、彼の即位に際してバーラージーはその側近に取り立てられました。1713年には宰相に任命され、彼は徐々に権力基盤を固めていきました。

彼の政権下で、コンカン地方のバラモンを多く起用し、彼の家系が宰相の地位を世襲する土台を築きました。これは19世紀まで続く王国の政治的安定性を確保する重要な要素となりました。

ムガル帝国との協力

ムガル帝国はアウラングゼーブの死後、内乱状態に入りますが、バーラージー・ヴィシュヴァナートはこの動乱を利用してマラーター王国の利益を拡大しました。1718年にはムガル帝国との重要な協定を結び、マラーターの領土の認知や軍事的支援の提供を約束します。この協定により、彼はデカンにおけるマラーター王国の政治的影響力を拡大しました。

政界引退と死

しかし1719年、バーラージー・ヴィシュヴァナートは政界からの引退を決意し、同年に彼はプネー近郊で亡くなりました。彼の死後は息子バージー・ラーオが後を継ぎ、家族による権力の世襲が確立されていきます。バーラージー・ヴィシュヴァナートの業績は、マラーター王国の形作りと彼自身の家柄の権威を高めたことにあります。彼の影響力は多くの世代に渡り、王国はデカンや北インドにまたがる大帝国へと成長していくことになります。

その功績は今なおインドの歴史に記され、彼の名前はマラーター王国の基礎を築いた偉大な指導者として語り継がれています。

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