サンクチュアリ (漫画)

サンクチュアリ

『サンクチュアリ』は、史村翔が原作を、池上遼一が作画を手掛けた漫画作品です。小学館の『ビッグコミックスペリオール』にて連載され、単行本は全12巻で完結しています。1995年には実写映画化、OVA化もされており、累計発行部数は700万部を超える人気作品です。

ストーリー

物語は、カンボジアでの戦乱を生き延び、日本に帰国した北条彰と浅見千秋の二人が、腐敗した日本の政治体制を変革しようと試みる姿を描いています。二人は、表の世界（政治）と裏の世界（暴力団）から、それぞれの立場で改革を目指します。その役割は、偶然にもジャンケンで決定されました。二人の異なるアプローチが交錯し、激動の時代を駆け抜ける様子は、読者の心を捉えます。

登場人物

主人公

北条 彰（ほうじょう あきら）
暴力団『北彰会』初代組長。カンボジアでの過酷な少年時代を経験し、浅見と共にキリング・フィールドを脱走した過去を持ちます。高校時代にはトップの成績を収めるも、ヤクザの世界へ身を投じます。当初は『渡海興業』に所属し、その度胸と実力から頭角を現します。後に『相楽連合』の二代目総長となり、極道の世界で頭角を現し、裏社会の再構築を目指します。また、極道に学力をつけさせ、ビジネスの世界で成功させるという、従来の価値観に捉われない考えを持ちます。世界を舞台に、経済活動を通じて平和を築く「和僑」構想を掲げています。

浅見 千秋（あさみ ちあき）
民自党代議士・佐倉の秘書。北条と共にカンボジアから脱出した過去を持ちます。東京大学法学部卒業後、代議士秘書を経て、北条のバックアップを受け国会議員に当選します。その後、仙石・吉川・狩谷らと新党『新日本』を設立。首相公選制を柱とする憲法改正を主張し、政権奪取を目指します。国民の政治参加を促し、政治への関心を高め、責任を自覚させることを目標としています。

暴力団関係者

渡海（とかい）
暴力団『渡海興業』組長。前科32犯の武闘派ヤクザで、妻を抗争で失った過去を持ちます。北条の度胸を見込み、組に入れます。当初は北条の出世を憎みますが、後に北条のカリスマ性に惚れ込み、相楽連合二代目総長となった北条の後見役となります。相楽連合の勢力拡大のため、香港へ向かいます。

田代 怜二（たしろ れいじ）
北条の側近。息子を北条に救われたことを機にヤクザの世界へ。北条の後を継ぎ、北彰会二代目組長となります。

村田（むらた）
暴力団『相楽連合』幹部。前総長の死後、北条の側近となります。冷静な判断力で北条を支えます。

中城 規介（なかぐすく きすけ）
沖縄極道のトップ。沖縄の勢力を拡大するため、渡海・黄と手を組みます。

宮村 政信（みやむら まさのぶ）
関東三大勢力の一角『武山連合』の『宮村組』組長。頭脳派で、渡海と北条の世話になった過去があります。武山連合と相楽連合の同盟を成立させます。

大西 英二（おおにし えいじ）
神戸山王会に反抗し組を潰された過去を持つ男。渡海とは刑務所仲間で、九州の勢力『小倉岩田組』を動かすために協力します。

緒方 栄蔵（おがた えいぞう）
神戸山王会三代目総長。北条との対話で自身の衰えを悟り、山王会の代紋を守るため引退し、伊吹に後を託します。

伊吹 英明（いぶき ひであき）
神戸山王会のナンバー2。緒方の指名を受け四代目に就任し、後に北条と協力して極道の世界の改革に乗り出します。

市島 陽介（いちじま ようすけ）
裏社会を仕切る黒幕。相楽連合を継いだ北条を気に入り、様々な助言を行う。

瀬川（せがわ）
暴力団『瀬川一家』組長。渡海の教え子。北海道でウラジミール・ソロコフに操られ、浅見と北条の選挙活動の妨害工作を行う。

相楽（さがら）
関東三代組織の暴力団『相楽連合』初代総長。北条や渡海にとっての親分にあたる。北条の力をつけるにあたり段々と北条に対し警戒心を持ち始め、北条を消そうとするが企てに気付いた北条に撃たれる。

黄 志陽（こう しよう）
香港黒社会のナンバー2。香港返還に危機感を抱き、日本進出を狙い渡海と手を組む。

警察関係者

石原 杏子（いしはら きょうこ）
警視庁・六本木署の副署長。東大卒のキャリア組。ヤクザである北条を捜査するうちに、彼に好意を抱くようになります。

尾崎（おざき）
六本木署の刑事で、石原の部下。ヤクザ情報に詳しく、渡海と付き合いが長い。北条を逮捕するため、渡海を利用しますが、渡海の改心後は彼をサポートします。

熊谷（くまがい）
警視庁捜査四課課長。抗争を利用し、日本の極道組織を一掃しようと企んでいます。

平山 隆（ひらやま たかし）
兵庫県警捜査四課課長。小柄ながらも優秀なキャリア組。熊谷と共に暴力団撲滅のために動きます。

石垣 和義（いしがき かずよし）
東京地検特捜部長。伊佐岡の闇献金疑惑を追いますが、阻まれてしまいます。その後、北条の選挙事務所でブレーンとして活躍します。

政界

仙石 慎一郎（せんごく しんいちろう）
北海道選出の新人国会議員。父を伊佐岡の策略で失っており、浅見と同時に当選。破天荒な言動で政治改革に挑みます。

吉川 秀丸（よしかわ ひでまる）
高知選出の新人国会議員。浅見、仙石と行動を共にします。

狩谷 久雄（かりや ひさお）
民自党代議士。『70年会』の中心人物。当初は浅見と対立しますが、後に共に政治改革を目指します。

五木（いつき）
社民党の新人代議士。当初は浅見と対立しますが、後に共感し行動を共にします。

佐倉 秀一（さくら しゅういち）
民自党の大物政治家。相楽連合と癒着しています。浅見と北条の策略で失脚します。

原口 賢二（はらぐち けんじ）
民自党の国会議員。野心家で、寝業師と呼ばれています。仙石の父親を自殺に追い込んだ「フューチャーランド北海道」に関与しています。

望月（もちつき）
民主自由党総裁で総理大臣。伊佐岡の言いなりで、ロシアのロビイストでもあります。

伊佐岡紀元（いさおか のりもと）
民自党幹事長。日本の政治を裏で操る人物。浅見たちを敵視します。モデルは元自民党副総裁の金丸信。

ビセット
アメリカ大統領補佐官。対日強硬派。浅見との交渉で態度を軟化させます。

クリント
アメリカ大統領。「アメリカと日本は対等な関係でなければならない」という理念を持ちます。

ウラジミール・ソロコフ
瀬川を操るロシアマフィアのボス。元ソビエト連邦政府高級官僚。

その他

青木（あおき）
ベンチャー企業の会長。北都銀行と相楽連合を結びつけ、北条に協力します。

アニメ

OVA

1995年にOVA化され、原作の第二巻までが描かれています。

声の出演

北条彰：速水奨
浅見千秋：中田和宏
渡海：土師孝也
相楽：笹岡繁蔵
伊佐岡紀元：渡部猛
佐倉秀一：岡部政明
尾崎：石塚運昇
石原杏子：鶴ひろみ
村田：佐藤正治
田代怜二：関智一
北条の恋人：勝生真沙子

スタッフ

原作：史村翔・池上遼一
プロデューサー：藤原正道、伊藤梅男、猪俣光一郎
監督：渡部高志
脚本：寺田憲史
絵コンテ：渡部高志、冨永垣雄
演出：鈴木卓夫
キャラクターデザイン・作画監督：窪秀巳
美術監督：加藤浩
撮影監督：鳥越一志
音響監督：三間雅文
制作：PASTEL
製作：東宝株式会社、株式会社バップ、株式会社小学館、株式会社オービー企画

まんがDVD

2003年に発売された、原作の四巻までを描いた作品です。

声の出演

北条彰：平田広明
浅見千秋：井上和彦
渡海：大塚明夫
田代怜二：関俊彦
石原杏子：深見梨加
尾崎：園部啓一
伊佐岡紀元：仲木隆司
相楽：渡部猛
佐倉秀一：糸博
村田：藤城裕土
悠子：兵藤まこ
青木：堀本等
婦警：菊池いずみ
ナイトクラブの女：小野寺啓子
武井：平野俊隆
亀山：樫井笙人
若手議員：桜井孝宏
組員：下山吉光
田代の妻：大東亜紀
由香：的井香織

スタッフ

監督：鈴木幸雄 (映画監督)
原作：史村翔、池上遼一
音楽：山本哲也

映画

1995年に公開された実写映画。全3作で、第1作は劇場公開、第2作と第3作はオリジナルビデオとして制作されました。

キャスト

永澤俊矢（北条彰）
阿部寛（浅見千秋）
中村あずさ（石原杏子）
榊原利彦（田代怜二）
田村高廣（市島陽介）
渡辺文雄 （伊佐岡巌）
世良公則（渡海）
六平直政（尾崎刑事）
青木義朗
本田博太郎（狩谷久雄）
塚田きよみ
南原宏治

スタッフ

製作：シネウェーブ（1）、ビデオチャンプ（2.3）
監督：藤由紀夫（1）、吉野晴亮（2.3）
脚本：安本莞二（1）、小杉哲大（2）、すずきじゅんいち（3）
音楽：トルステン・ラッシュ（3）

関連事項

BEGIN (漫画)：本作と同じく、史村翔原作、池上遼一作画の作品。裏社会と政界の二人が主人公である点が共通しています。

外部リンク

* サンクチュアリ - マンガペディア

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