サンタ・サビーナ聖堂

サンタ・サビーナ聖堂は、イタリアのローマ、アヴェンティーノの丘に位置する名義小バシリカであり、カトリック教会ドミニコ会の母教会として知られています。テヴェレ川のほとりにあり、聖ヨハネ騎士団本部にも近いこの聖堂は、その歴史的、宗教的意義において重要な存在です。

歴史

5世紀初頭、422年から432年にかけて、イリュリア出身の司祭ペトロスによって建立されました。この場所は、かつて2世紀のローマ人女性で後に聖人とされたサビーナの邸宅があったとされ、聖堂は彼女に捧げられました。また、かつては近くにユーノー神殿が存在していました。

13世紀に入ると、1216年にホノリウス3世が説教者修道会、後のドミニコ会を認可。1222年6月5日、ホノリウス3世はサンタ・サビーナ教会をドミニコ会の創設者である聖ドミニコに与えました。この譲渡には、ホノリウス3世がサヴェッリ家出身であり、教会が同家の資産の一部だったという説も存在しますが、これは誤りであると考えられています。いずれにせよ、この聖堂はドミニコ会に与えられ、以来、同修道会のローマ本部として機能し続けています。

外観

聖堂の外観は、5世紀の創建当初からほとんど変わっていません。大きな窓にはガラスの代わりに透明石膏が用いられており、独特の雰囲気を作り出しています。特筆すべきは、木製の扉です。これは430年から432年にかけて作られたとされ、サンタ・サビーナ聖堂のために制作されたものではないものの、現存する最古のキリスト教の図像の一つであるキリストの磔刑を描いたパネルが含まれています。その他17枚のパネルも聖書の場面を描いており、キリスト教図像学の研究において重要な資料となっています。扉の上部には、ラテン語のヘクサメトロスで書かれた創建時の献辞が残っています。また、10世紀に建てられた鐘楼も、歴史を感じさせる存在です。

内部

聖堂内部は、創建当初の質素な姿を復元しており、白を基調とした装飾が特徴的です。この質素さが、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のような他のバシリカの派手な装飾とは対照的で、光が差し込む空間は広々として開放感があります。5世紀のアプスのモザイク画は、1559年にタッデオ・ツッカリによってフレスコ画に置き換えられましたが、キリストが丘の上に座り、男女の聖人が両側に立ち、手前の小川を子羊が飲むという構図はそのまま残されています。この構図は、同じく5世紀に制作されたものの17世紀に破壊されたモザイク画とよく似ているとされています。

修道院

隣接する修道院には、聖ドミニコをはじめ、ピウス5世やトマス・アクィナスといった聖人たちが生活していました。ドミニコ会修道士のための個室は、修道会創立初期の姿をほぼそのまま残しています。聖ドミニコの独房は現在チャペルに改築されていますが、トマス・アクィナスが食事をしたとされる食堂は当時のまま現存しています。

サンタ・サビーナ聖堂は、その歴史と質素な美しさ、そしてキリスト教の歴史における重要な役割から、多くの人々を魅了し続けています。古代ローマの建築様式から初期キリスト教の教会堂への発展をたどる上で、非常に重要な場所であると言えるでしょう。

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