ザ・ギャンブラー (テレビ映画)

ザ・ギャンブラー シリーズ

「ザ・ギャンブラー」は、アメリカで製作された一連のテレビ映画シリーズです。グラミー賞歌手としても知られるケニー・ロジャースが、主人公である腕利きの賭博師ブレイディ・ホークを演じました。シリーズ名は、主演のロジャースが1978年に発表し、大ヒットした同名の楽曲に由来しています。本シリーズは合計5作品が製作され、第5作のみジャック・ベンダーがメガホンを取りましたが、それ以外の4作品はディック・ロウリーが監督を務めています。

第1作：ケニー・ロジャース・アズ・ザ・ギャンブラー (1980)

シリーズの幕開けとなった本作は、1980年4月8日に放送されました。高い視聴率を獲得し、その成功が続編製作のきっかけとなりました。この作品はエディー賞を受賞したほか、エミー賞にも撮影賞と編集賞の2部門でノミネートされています。

物語は、放浪の賭博師であるブレイディ・ホークが、長年その存在を知らなかった幼い息子ジェレミアから手紙を受け取り、彼に会うため旅に出るところから始まります。道中、ブレイディは自分を一人前のプロポーカープレイヤーだと信じ込んでいるビリー・モンタナと出会い、意気投合して旅を共にします。ビリーはしばしば不器用な行動でブレイディを困らせますが、ブレイディは常に冷静沈着に対応します。また、二人はゲームでのトラブルに巻き込まれた娼婦ジェニー・リードを助けることになります。旅の終わりには、ブレイディは息子ジェレミアの継父と対面することになります。

第2作：荒野のギャンブラーII (1983)

邦題は『荒野のギャンブラーII』、原題は「Kenny Rogers as The Gambler: The Adventure Continues」です。ケニー・ロジャースが再び主演を務めた第2作は、1983年11月28日と29日の二夜にわたって放送されました。前作を上回る視聴率を記録し、エミー賞では音声編集部門とミキシング部門の2部門にノミネートされるなど、商業的にも評価されました。

この作品では、ブレイディ、ビリー、そして息子ジェレミアがサンフランシスコへと向かう旅の途中で、凶悪なマッコート一味に遭遇します。彼らは列車を襲撃し、ジェレミアを人質に取って巨額の身代金100万ドルを要求します。息子を救い出すことを最優先としたブレイディとビリーは、伝説的な女性ガンマンであり、寛大な心を持つケイト・マルドゥーン（リンダ・エヴァンス演）の協力を得て、ジェレミア奪還へと乗り出します。

第3作：ケニー・ロジャース・アズ・ザ・ギャンブラー パートIII ザ・レジェンド・コンティニューズ (1987)

シリーズ第3作は、1987年11月22日に放送されました。

前作から数年後、ブレイディとビリーの新たな冒険が描かれます。今回は、彼らが先住民族であるスー族を、政府や牛泥棒たちの脅威から守るために奔走するという設定となっています。

第4作：ザ・ギャンブラー・リターンズ ザ・ラック・オブ・ドロー (1991)

第4作は、ケニー・ロジャースがカントリー歌手のリーバ・マッキンタイアと共演した作品です。「運頼み」を意味するサブタイトル「ザ・ラック・オブ・ドロー」が示す通り、ブレイディの「賭博師」としてのキャラクターがより強調されています。1991年11月3日にNBCで放送され、エミー賞の衣装デザイン部門にノミネートされました。

舞台は1906年、賭博が非合法化されてから3週間後の世界です。バーガンディ・ジョーンズ（マッキンタイア演）は、サンフランシスコで開催される最後のポーカートーナメントに、ブレイディが謎の特別ゲストと共に無事たどり着くことを願っています。

この作品の大きな特徴として、過去の有名テレビ西部劇シリーズで主役などを務めた俳優たちが、当時の役柄そのままにカメオ出演している点が挙げられます。登場するたびにそれぞれのテーマ曲が流れ、視聴者を楽しませました。主な出演者は以下の通りです。

バット・マスターソン役：ジーン・バリー
ワイアット・アープ役：ヒュー・オブライエン
マーベリック役：ジャック・ケリー
シャイアン役：クリント・ウォーカー
『燃えよ! カンフー』から：デビッド・キャラダイン
『ライフルマン』から：チャック・コナーズ
『ウエスターナー』から：ブライアン・キース
『バージニアン』から：ジェームズ・ドゥーリー、ダグ・マクルーア
* 『ローハイド』から：ポール・ブラインガー

その他、セオドア・ルーズベルト大統領（クロード・エイキンス演）など、多くの登場人物がポーカーの席でブレイディと対戦することに興奮を示しています。

第5作：ギャンブラーV プレイング・フォー・キープス (1994)

シリーズ最終作となる第5作では、ブレイディの息子ジェレミアが成長し、アウトローとして知られるブッチ・キャシディやサンダンス・キッドの一味に加わってしまいます。息子が危険な道に進み、投獄されるような最悪の事態に陥るのを防ぐため、ブレイディはジェレミアを救い出すための旅に出ます。

その後

シリーズは5作で完結しましたが、2011年3月15日にケニー・ロジャースがテレビ番組に出演した際、もし新作が製作されたら出演するかと尋ねられました。ロジャースは自身の膝の状態から難しいだろうとしながらも、もし出演するなら、冒頭で膝の負傷を銃撃戦による傷とする設定にしたいというユーモアを交えた希望を述べていました。しかし、新たな作品が製作されることはありませんでした。

このシリーズは、ケニー・ロジャースの歌声と俳優としての魅力を通じて、古き良き西部を舞台にした人間ドラマと冒険を見事に描き出し、多くの視聴者に愛されました。

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