シュド・エスト

シュド・エスト（SNCASE）

シュド・エスト（Société Nationale de Constructions Aéronautiques du Sud Est、略称SNCASE）は、かつて存在したフランスの航空機製造会社の一つであり、その設立は1936年に遡ります。この会社は、フランス政府が民間の航空機製造企業を国営化し、6つの地域航空機製造公社へ統合する際に誕生しました。シュド・エストはポテーズ社やCAMS社、そしてリオレ・エ・オリビエのアルジャントゥイユ工場、クリシー工場、ロマノ、SPCAなどの企業を統合した結果形成された国営企業です。

歴史の展開

シュド・エストは、1941年にSNCAM（南部航空機製造公社）を吸収し、その影響力を強化しました。SNCAMの前身であるアヴィオンズ・デヴォアティーヌ社は、当時フランス軍の中で最も高性能な機体とされていたデヴォアティーヌD.520を量産していました。

第二次世界大戦後の1957年3月、シュド・エストは南西航空機製造公社（SNCASO）と合併し、新たにシュド・アビアシオン（Sud-Aviation）が設立されました。この時期、シュド・エストはデ・ハビランド製バンパイヤ戦闘機のライセンス生産や、ロールス・ロイス ニーンエンジンを搭載したミストラル戦闘機の生産に取り組んでおり、より自立した航空機の開発へと舵を切ることを目指していました。

1951年、SNCASEは新たなジェット旅客機「カラベル」の設計に取り掛かりました。この機体はイギリス製のエンジンを搭載し、機首と尾翼はデ・ハビランド コメットの設計を流用しつつ、その他の部分は新たに設計されたものでした。特に特徴的だったのは、胴体の後方にエンジンを配置した点です。この設計により、客室内の騒音が軽減されるという利点がありました。そして1958年にカラベルの生産が開始されました。

シュド・アビアシオンは1960年から超音速旅客機シュペル・カラベルの設計を始めましたが、開発コストの膨張から、イギリスのBACと連携し、1962年にコンソーシアムを結成して超音速旅客機「コンコルド」の開発に着手しました。

1970年にはノール・アビアシオンと合併し、アエロスパシアルと名を改めました。その後、国際的なコンソーシアムであるエアバスをブリティッシュ・エアロスペース、DASAとの共同で設立し、2000年にはDASAおよびスペインのCASAと合併して共同企業EADSを形成しました。これにより、EADSはエアバスの親会社となりました。

主な機体の一覧

シュド・エストは数多くの航空機を生産しました。主な機体には以下のものがあります：

• - SNCASE SE-100
• - SNCASE SE-116 / SE-117 Voltigeur
• - SNCASE SE-161 ラングドック
• - SNCASE SE-200
• - SNCASE SE-210 カラベル
• - SNCASE SE-212 デュランダル
• - SNCASE SE-400
• - SNCASE SE-532 / SE-535 Mistral（デ・ハビランド バンパイアのライセンス生産）
• - SNCASE SE-700
• - SNCASE SE-1010
• - SNCASE SE-1210
• - SNCASE SE-2010 アルマニャック
• - SNCASE SE-2100
• - SNCASE SE-2300
• - SNCASE SE-2410 / SE-2415 Grognard
• - SNCASE SE-3000
• - SNCASE SE-3101
• - SNCASE SE-3110
• - SNCASE SE-3120 アルエット
• - SNCASE SE-3130 アルエット II / SE-3131 ガヴァナー
• - SNCASE SE-3150 アルエット アスタゾウ
• - SNCASE SE-3160 アルエット III
• - SNCASE SE-3200 Frelon
• - SNCASE SE-5000 / SE-5003 Baroudeur
• - SNCASE Aquilon

シュド・エストは、フランスの航空機製造史において重要な役割を果たした企業であり、多くの革新的な技術と航空機を世に送り出しました。その影響は今もなお、航空業界に残っています。

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