シンガポールの地理

シンガポールの地理と気候

シンガポールは、東南アジアに位置する小さな都市国家です。マレー半島の先端、マレーシアとインドネシアの間に位置し、その面積は724.2k㎡と非常にコンパクトです。国土は、本土のシンガポール島と周辺の島々から構成されており、シンガポール島は東西約50km、南北約27kmの菱形をしています。海岸線は193kmに及び、排他的経済水域は1,067k㎡です。シンガポールは、インドネシアとはシンガポール海峡、マレーシアとはジョホール海峡によって隔てられています。

地勢

シンガポールの国土の中心はシンガポール島ですが、周囲にはジュロン島、テコン島、ウビン島、セントーサ島など、多くの小島が点在しています。本土から最も離れた島はペドラ・ブランカ島です。国土の大部分は海抜15m以下の低地で、最高地点はブキッ・ティマの165mです。北西部には堆積岩の丘陵や谷が、東部には平坦な砂地が広がっています。国内には天然の湖沼は存在せず、貯水池や集水域が水源として利用されています。

シンガポールは、埋め立てによって国土を拡大させてきました。1960年代には581.5k㎡だった面積が、現在では725.7k㎡にまで広がっています。今後も干拓や海面上昇対策のための堰が建設される予定であり、さらなる国土の拡大が見込まれています。

気候

シンガポールは、赤道からわずか北に位置し、熱帯[[雨林気候]]（Af）に分類されます。季節の変化ははっきりしておらず、年間を通して気温や気圧が安定しているのが特徴です。湿度が高く、雨が多い気候で、年間降水量は約2,340mmに達します。過去には、1日に500mmを超える降水量が観測された記録もあります。

気温は、最低25℃から最高33℃の間で推移し、5月が最も暑く、次いで6月が暑くなります。最高気温記録は37.0℃、最低気温記録は19.0℃です。日中の相対湿度は変動があり、朝は90％台と高いですが、午後には60％前後にまで下がります。しかし、長時間の大雨が降ると、相対湿度が100％になることもあります。

シンガポール島では、雨蔭効果により、西部の方が東部よりも降水量が多くなっています。そのため、同じ島内でも地域によって天候に差が生じることがあります。また、年に2回、モンスーンの影響を受けます。11月中旬から3月上旬にかけては北東モンスーン、6月から9月にかけては南西モンスーンが吹きます。特に北東モンスーンの時期は、北東の風が強く吹くことが多く、12月から1月にかけては曇りがちで、午後に雨が降ることが多くなります。

気候変動対策

シンガポールは、気候変動の影響を非常に受けやすい国です。そのため、気候変動の影響を調査し、緩和策を講じ、変化に適応するという3段階のアプローチで対策に取り組んでいます。シンガポール気候研究センター（CCRS）が設立され、気候変動の研究が進められています。

政府は、気候変動対策に100年間で1,000億ドルを費やす必要があると見積もっています。海岸線・洪水防止基金の設立には、50億ドルが充てられました。また、電気自動車（EV）の普及促進や、公共交通機関の利用を推奨するカーライト政策も推進しています。さらに、年間25,000トン以上の二酸化炭素を排出する企業に対して、炭素税を課しています。再生可能エネルギーの導入も進められており、浮体式太陽光発電所が建設されています。

標準時と地質

シンガポールはサマータイムは採用していませんが、UTC+8の標準時を採用しています。地質は、ブキッ・ティマやウッドランズ、ウビン島には火成岩が見られ、主に花崗岩で構成されています。また、シンガポール西部や南西部には堆積岩が多く、砂岩や泥岩が分布しています。北東部やテコン島では変成岩が見られます。

地震活動

シンガポールは、主要な活断層から数百キロメートル離れているため、地震のリスクは比較的低いといえます。地震はまれに発生しますが、小さな揺れや物の振動程度で、建物や住民に被害が出ることはほとんどありません。2004年のスマトラ島沖地震では、シンガポールは津波の被害を受けませんでしたが、高層階で揺れを感じる程度にとどまりました。

政治・人文地理

シンガポールは、かつてイギリスの植民地であり、その中心はシンガポール川河口付近にありました。現在でもこの地域が中心地です。1960年代以降、政府は多くのニュータウンを建設し、島全体が高度に都市化されています。行政区分としては、5つの社会開発協議会があり、その下は単独選挙区や集団選挙区に細分化されますが、行政区分が必ずしも住民の認識と一致しているわけではありません。都市再開発庁が設定した計画地域は、都市計画や国勢調査に利用されていますが、これも一般の認識とは異なる場合があります。

都市再開発庁は、交通利便性の維持、効率的な土地利用、公害の最小化を目標に、都市計画を推進しています。中心市街地では、ロードプライシングが実施され、交通渋滞緩和に貢献しています。郊外には、住宅団地やコンドミニアムが多く、商業施設は中心部に比べて少ないです。工業地区は島全体に分布しており、無公害に近い軽工業が中心です。重工業はジュロンやジュロン島周辺に置かれています。

シンガポールは、マレーシアのジョホール州とコーズウェイとセカンドリンクの2つの連絡路で結ばれています。コーズウェイは鉄道と道路の両方が通っており、セカンドリンクは道路のみです。コーズウェイは、生態系の問題を引き起こしていますが、全面的な橋への置き換えは実現していません。

シンガポールは天然の淡水河川や湖沼がないため、雨水を主な水源としています。しかし、淡水の需要は降水量の約2倍あるため、マレーシアやインドネシアから水を輸入しています。そのため、国内に貯水池を建設し、輸入への依存度を減らす取り組みが行われています。また、海水の淡水化や再生水（NEWater）の製造も進められています。

シンガポールには、300以上の公園や4つの自然保護区があり、国土の約50％が緑に覆われているため、「ガーデンシティ」とも呼ばれています。しかし、海面上昇は、長期的に見ると国の存続に関わる大きな脅威となる可能性があり、気候変動に対して脆弱な国であると言えます。

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