ジョン・エリオット (1592年生の政治家)

サー・ジョン・エリオット（Sir John Eliot, 1592年4月11日 - 1632年11月27日）は、17世紀イングランドの政治家であり、議会におけるチャールズ1世の専制政治への抵抗者として歴史に名を刻んでいます。彼は、国王の側近であったバッキンガム公ジョージ・ヴィリアーズの失政を厳しく批判し、そのために複数回にわたり投獄され、最終的にはロンドン塔で獄死するという悲劇的な結末を迎えました。

エリオットは、コーンウォールのジェントリであるリチャード・エリオットとブリジット・カーズウェル夫妻の息子として生まれました。オックスフォード大学エクセター・カレッジと法曹院で教育を受け、1614年には庶民院議員に選出され、政界でのキャリアをスタートさせます。当初はバッキンガム公の庇護を受けていましたが、次第に彼の政策や行動に批判的になっていきました。

エリオットがバッキンガム公を批判するようになった最大の要因は、1625年のカディス遠征の失敗でした。デヴォンの海軍副提督を務めていたエリオットは、遠征から帰還した兵士たちの悲惨な状況を目の当たりにし、深く恥じ入りました。1626年の議会でエリオットはバッキンガム公に対する弾劾演説を行い、彼の失政を厳しく糾弾しました。バッキンガム公が権力と官職を独占し、それらが腐敗を招き、イングランドの威信を失墜させたとして非難しました。また、恣意的な派閥形成や国庫の横領にも言及し、徹底的に攻撃しました。しかし、チャールズ1世はバッキンガム公を擁護し、議会を解散させ、エリオットを投獄しました。

数日後に釈放されたものの、エリオットの政府批判の姿勢は変わりませんでした。1627年には、政府が地方に強制的に徴収しようとした借上げ金に応じなかったため、再び投獄されました。他の反対派も同様に投獄されました。1628年3月に開かれた議会に復帰したエリオットは、議会の権利を擁護し、熱烈なピューリタンとして、チャールズ1世とバッキンガム公に対する攻撃を続けました。エドワード・コークが提案した権利の請願起草において主導的な役割を果たしました。さらに、トン税やポンド税の徴収を非難する抗議文を提出しようとしましたが、チャールズ1世はこれを不快に感じ、議会を停会させました。

1629年1月に議会が再開すると、エリオットは政府批判を続けました。チャールズ1世の専制政治を批判する抗議文を提出し、3月には議会解散を宣言しようとした庶民院議長ジョン・フィンチをデンジル・ホリスとともに議長席に押さえつけ、強引に抗議文を成立させました。これらの行為がチャールズ1世の怒りを買い、議会は解散されました。エリオットは3度目の投獄を受け、釈放されることなく1632年にロンドン塔で獄死しました。彼の死後、1634年にはエドワード・コークも亡くなり、トマス・ウェントワースはチャールズ1世の側近に変節し、親政を支える立場になりました。議会は長期間召集されませんでしたが、1640年に主教戦争の戦費調達のためチャールズ1世が議会を召集（短期議会・長期議会）、エリオットらの政治活動を見ていたジョン・ピムが彼らに代わって国王批判の先頭に立ち、やがて清教徒革命（イングランド内戦）へと至ることになります。

エリオットは、1609年6月22日までにラディグンド・ジェディと結婚し、5男4女をもうけました。彼の子孫の中には、政治家として活躍した者もいます。

エリオットの生涯は、国王の専制に抵抗した議会政治家の姿を象徴しており、後のイギリス史に大きな影響を与えました。

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