ジョン・ド・ヴィアー (第13代オックスフォード伯)

第13代オックスフォード伯爵ジョン・ド・ヴィアー：激動の時代を駆け抜けた貴族の生涯

第13代オックスフォード伯爵ジョン・ド・ヴィアー（1442年9月8日 - 1513年5月10日）は、薔薇戦争におけるランカスター朝の主要な指揮官の一人として、その名を歴史に刻みました。父である第12代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーとエリザベス・ハワードの次男として生まれた彼は、ヨーク朝への反抗、幽閉、脱走、そしてテューダー朝の樹立という、激動の時代を象徴するような生涯を送りました。

ウォリック伯の陰謀への加担

エドワード4世の治世初期、1462年に父と兄が国王への陰謀を企てたとして処刑されます。しかし、エドワード4世はランカスター派との和解を目指していたため、ジョンは父の地所と称号を継承することを許されました。1465年には、エリザベス・ウッドヴィルの戴冠式で、オックスフォード伯家の世襲職である式部長官として戴冠式を執り行い、同年にはマーガレット・ネヴィルと結婚しました。また、ノーフォークにおける勢力拡大のため、地元の有力者パストン家を庇護し、ジョン・ファストルフの遺産相続争いの仲裁に尽力しました。

1468年、オックスフォード伯はエドワード4世に対する反逆の陰謀で捕えられ、ロンドン塔に収監されますが、翌年には義兄であるウォリック伯の尽力により釈放されたと考えられています。釈放後、ウォリック伯に接近し、1469年の陰謀に深く関与。ウォリック伯がエドワード4世に反旗を翻しフランスへ渡ると、娘イザベルとエドワード4世の弟クラレンス公ジョージの結婚式に出席しました。ウォリック伯はエッジコート・ムーアの戦いでエドワード4世を捕らえますが、政治的判断からエドワード4世を釈放し和睦。オックスフォード伯も国王を迎え入れました。

1470年、ウォリック伯が再び陰謀を企てると、オックスフォード伯もこれに加担。陰謀が露見すると、ウォリック伯、クラレンス公とともにフランスへ亡命し、ランカスター派を率いるマーガレット・オブ・アンジューの宮廷に身を寄せました。ウォリック伯のランカスター派への寝返りを交渉し、9月には艦隊を率いてイングランドへ帰還したウォリック伯に同行。10月にはエドワード4世がブルゴーニュへ亡命し、ウォリック伯の活躍によりヘンリー6世が復位すると、オックスフォード伯はイングランド武官長に任命されました。

フランスでの幽閉

しかし、1471年にエドワード4世がブルゴーニュの支援を得てイングランドへの帰還を企てると、オックスフォード伯はノーフォークを固め来襲に備えます。エドワード4世が北東部ヨークシャーに上陸すると軍勢を招集、4月14日のバーネットの戦いでランカスター派の指揮官としてウォリック伯と共にヨーク派を迎え撃ちました。戦闘では右翼を率いて敵左翼を破りますが、濃霧により同士討ちが発生し、混乱に乗じたヨーク派の反撃によりウォリック伯が戦死。ランカスター派は大敗を喫しました。戦後、オックスフォード伯はスコットランドを経て再びフランスへ逃れ、フランス王ルイ11世の支援のもと、イングランドに対する海賊行為や沿岸部の襲撃を行いました。

1473年5月、エセックス上陸に失敗した後、9月23日にコーンウォール西部のセント・マイケルズ・マウントを占拠します。その意図は不明ですが、エドワード4世を退位させクラレンス公を王位につけるためのイングランド侵攻作戦の足がかりとするためだったと考えられています。しかし、孤立無援のまま半年近く抵抗した後、1474年初めに降伏。領土を没収され、フランスのハンメス要塞に収監されました。

3年後、オックスフォード伯はハンメス要塞から脱走を試みましたが失敗。1484年まで収監されます。リチャード3世の治世下でヨーク派に動揺が見られると、ハンメス要塞司令官ジェームズ・ブラウント卿を説得してヘンリー・テューダー（後のヘンリー7世）に寝返らせ、ブラウントの手引きで脱走に成功しました。

復権と昇格

1485年8月、ヘンリー・テューダーの軍勢に加わりイングランドに上陸。8月22日のボズワースの戦いでは前線指揮官として活躍し、中央軍を指揮してヨーク派の攻撃を防ぎました。ヨーク派の軍勢が裏切りにより崩壊し、リチャード3世が討ち取られると、ヘンリー・テューダーがヘンリー7世として即位し、テューダー朝が開かれました。

戦後、オックスフォード伯は元の所領と称号に復し、ガーター勲章を授けられ、海軍司令長官とロンドン塔管理者に任命されました。ヘンリー7世の治世初期には、ヨーク派の後継者を自称する者が現れましたが、オックスフォード伯は1487年のストーク・フィールドの戦いでリンカーン伯を討ち取り、反乱を鎮圧しました。これらの功績により、ノーフォークを中心とするイースト・アングリアの統轄を任されるまでになりました。

1513年、70歳で死去。2度の結婚で子供に恵まれなかったため、甥のジョン・ド・ヴィアーが第14代オックスフォード伯を継承しました。しかし、庶子キャサリンを通じて、ウィンチェスター侯爵家へと血筋は繋がっていきました。

ジョン・ド・ヴィアーの生涯は、薔薇戦争という激動の時代を生き抜いた一人の貴族の姿を鮮やかに描き出しています。彼の勇気と忠誠心は、後世に語り継がれることでしょう。

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