スズキ・Kei

スズキ Kei：軽クロスオーバーSUVの先駆け

スズキKeiは、1998年の軽自動車規格改定に合わせて登場した、クロスオーバーSUV型の軽自動車です。セダンとSUVの中間を狙った新しいジャンルのモデルとして開発され、1998年から2009年まで約11年間にわたり生産されました。このモデルは、軽自動車でありながら、悪路走破性を意識した高い最低地上高と、セミトールスタイルが特徴です。

デザインとパッケージ

Keiは、乗り降りのしやすさと良好な視界を提供するヒップポイント（座面高）を採用。一般的な機械式立体駐車場の制限車高である1,550mmを基準としたセミトールスタイルと大径タイヤが、特徴的な外観を形成しています。当初は3ドアモデルのみでしたが、1999年には5ドアモデルを追加。2000年以降は5ドアモデルに集約されました。居住空間やラゲージスペースはセダンタイプよりもやや広いものの、トールワゴンタイプには及ばないため、室内容積よりもスタイリングや走破性を重視するユーザーに支持されました。使い勝手を向上させるため、スペアタイヤの上部には34Lの大容量ラゲッジボックスが標準装備されていました。

モデルの変遷

Keiは、発売期間中に数回のマイナーチェンジを行い、フロントデザインや装備を更新しました。特に2000年と2006年の改良では、フロントマスクのデザインが大きく変更されています。また、グレード構成も多岐にわたり、スポーティモデルや特別仕様車が多数設定されました。2007年の改良では、機種記号が一新されるなど、実質的な一部改良でありながら大きな変更が加えられました。

派生モデルとOEM供給

スズキの普通自動車である初代シボレー・クルーズや初代スイフト、欧州向けイグニスは、Keiの派生車とも言え、多くの部品が共通化されていました。また、マツダには「ラピュタ」としてOEM供給され、2006年まで販売されました。

型式と年表

Keiの型式はHN11S/HN12S/HN21S/HN22S型で、1998年から2009年まで生産されました。

年表

1998年10月：新規発売（1型）。3ドアモデルのみで、4グレード展開。
1999年2月：特別仕様車「Kei リミテッド」発売。
1999年3月：5ドアモデル追加。
1999年3月：マツダへOEM供給開始（ラピュタ）。
1999年5月：スポーツ特装車「Kei スペシャル」発売。
1999年10月：一部改良（2型）。装備を充実化。
2000年5月：特別仕様車「80周年記念車 EX」発売。
2000年10月：一部改良（3型）。フロントマスク一新、3ドアモデル廃止、「Kei スポーツ」設定。
2000年11月：特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップリミテッド」発売。
2000年12月：新グレード「21世紀記念スペシャル EX」発売。
2001年4月：一部改良（4型）。インストルメントパネルデザイン変更、「DJ」グレード新設定。
2001年4月：「KeiスポーツR」発売。
2001年11月：一部改良（5型）。新グレード「N-1」と特別仕様車「up to you KANSAI」設定。
2002年1月：特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップリミテッド（第2期モデル）」発売。
2002年5月：特別仕様車「E リミテッド」発売。
2002年11月：一部改良（6型）。内装デザイン変更、「Keiワークス」設定。
2002年11月：特別仕様車「FISフリースタイルワールドカップリミテッド（第3期モデル）」発売。
2003年9月：一部改良（7型）。グレード体系を整理。
2004年4月：一部改良（8型）。
2004年6月：KeiスポーツRのリコール発表。
2005年5月：特別仕様車「Aスペシャル」および「Bターボスペシャル」発売。
2006年4月：マツダへのOEM供給終了。
2006年4月：一部改良（9型）。フロントデザイン変更。
2007年6月：一部改良（10型）。
2008年9月：一部改良（11型）。
2009年8月：KeiワークスのAT車オーダーストップ。
2009年9月：全グレードオーダーストップ、生産終了。
2009年10月：販売終了。

ホットモデル

軽自動車の馬力規制により、Keiのスポーツモデルも最高出力は64psに制限されていました。

Keiスペシャル（1型）

初期型に存在した3ドア・Sタイプをベースにした特装車。内外装の変更と装備の充実が図られましたが、エンジンや足回りはSタイプと同等でした。

Keiスポーツ（3-5型）

アルトワークスの後継モデルとして登場。専用サスペンションやエアロパーツ、バケットシートなどが装備されました。軽量化に特化した「KeiスポーツR」も存在しました。

Keiワークス（6型-）

Keiスポーツから名称変更。4輪ディスクブレーキ、15インチアルミホイール、レカロシートなどを採用し、「ワークス」の名に恥じないスポーツモデルとして進化。ボディカラーには「チャンピオンイエロー」が設定されました。

車名の由来

車名の「Kei」は、軽自動車の「ケイ」に由来し、「軽の中の軽」を目指す意味が込められています。

関連項目

スズキ (企業)
マツダ・ラピュタ
スズキ・スイフト（初代）
シボレー・クルーズ
スバル・G3Xジャスティ
スズキ・ハスラー

スズキKeiは、その独特なコンセプトと多様なモデル展開で、軽自動車市場において独自の地位を築いた一台と言えるでしょう。

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