カロライナ方面作戦

カロライナ方面作戦：南北戦争終盤の激戦

カロライナ方面作戦は、南北戦争終盤の1865年初頭に展開された、西部戦線における最後の主要な作戦でした。北軍のウィリアム・シャーマン少将は、ジョージア州サバンナから北上を開始し、両カロライナ州を通過してバージニア州での北軍との合流を目指しました。この作戦は、南軍の最後の抵抗を打ち砕き、戦争の終結を決定づける重要な転換点となりました。

作戦の背景と対戦した戦力

シャーマンはサバンナ占領後、当初はバージニア州へ移動し、ピーターズバーグ包囲戦を支援するよう命じられていました。しかし、シャーマンはカロライナ両州を北上し、ジョージア州での行軍と同様に、途中で軍事的に価値のあるものを破壊する作戦を提案し、グラント中将を説得しました。シャーマンの目標は、最初に合衆国からの脱退を表明したサウスカロライナ州を標的にすることで、南部の士気を挫くことにありました。

1865年1月下旬、シャーマン軍はサウスカロライナ州コロンビアに向けて進軍を開始しました。総勢60,079名からなるこの軍隊は、3つの翼に分かれていました。オリバー・O・ハワード少将のテネシー軍、ジョン・マカリスター・スコフィールド少将のオハイオ軍、そしてヘンリー・W・スローカム少将の第14軍団と第20軍団でした。北上中に援軍が到着し、4月1日までには総勢88,948名に膨れ上がりました。

一方、シャーマン軍に対抗する南軍は、はるかに小規模な戦力でした。両カロライナ州における主要部隊は、ジョセフ・ジョンストン将軍の指揮下にあるテネシー軍であり、その戦力は3月中旬で9,513名、4月中旬で15,188名と記録されています。南軍はウィリアム・J・ハーディ、アレクサンダー・P・スチュアート、スティーブン・D・リーの各中将が率いる3個軍団で構成され、その他にもウェイド・ハンプトン少将の騎兵隊やブラクストン・ブラッグ将軍指揮下のウィルミントンの小部隊が存在していました。シャーマンの作戦は、南軍の小部隊がいるジョージア州オーガスタやサウスカロライナ州チャールストンを迂回し、3月15日までにノースカロライナ州ゴールズバラに到達することでした。

主要な戦闘

カロライナ方面作戦では、以下の主要な戦闘が行われました。

リバーズ・ブリッジの戦い (2月3日): 南軍がシャーマン軍の渡河を阻止しようとしましたが、北軍が側面攻撃に成功し、南軍は後退しました。
コロンビア陥落 (2月17日): シャーマン軍がコロンビア市を占領。市内で火災が発生し、市中心部が焼失。火災の原因は今も議論の的となっています。
ワイズ・フォークの戦い (3月7日-10日): スコフィールド軍とブラッグ軍が激突。当初は南軍が優勢でしたが、最終的には北軍が勝利し、南軍はキンストンへの撤退を余儀なくされました。
モンローズ交差点の戦い (3月10日): ハンプトン騎兵隊が北軍の宿営地を襲撃。激しい戦闘の末、北軍が反撃に成功し、南軍は撤退しました。
アベラスバラの戦い (3月16日): 北軍はハーディ軍団の防御を突破しようと試みましたが、南軍の抵抗に遭い、膠着状態に。夜間に南軍が撤退しました。
ベントンビルの戦い (3月19日-21日): シャーマン軍とジョンストン軍が激突した、この作戦における最大の戦闘。南軍は必死の抵抗を試みましたが、北軍の圧倒的な兵力の前に敗北しました。この戦いは南軍の事実上の終焉を意味しました。

戦闘後

カロライナ方面作戦は、シャーマン軍が50日間で425マイルを踏破するという過酷なものでしたが、南軍は著しく疲弊し、士気も低下していました。ベントンビルの戦いの後、ジョンストン将軍は自軍の現状を認識し、降伏へと傾きます。1865年 4月18日、リンカーン大統領暗殺の3日後、ジョンストンはシャーマンとの休戦協定に調印しました。当初、シャーマンは政治的な条件を含めた降伏を提案したため混乱が生じましたが、最終的には4月26日、ジョンストンは軍事的な条件のみを受け入れ、両カロライナ州、ジョージア州、フロリダ州における全南軍の降伏に同意しました。これにより、南軍の組織的な抵抗は終わりを迎えました。

4月9日、ロバート・E・リー将軍がアポマトックス・コートハウスで北バージニア軍を率いて降伏したことで、事実上、南軍は終焉を迎えました。ミシシッピ川地域にはまだ小規模な勢力が残っていましたが、その影響は限定的でした。

まとめ

カロライナ方面作戦は、南北戦争の終結を決定づけた重要な作戦でした。この作戦を通じて、北軍の圧倒的な兵力と組織力が示され、南軍の疲弊と抵抗力の限界が明らかになりました。シャーマンの戦略は、敵の戦力を分散させ、破壊的な行軍によって南部の士気を挫くことに成功しました。ベントンビルの戦いは、南軍の最後の抵抗を打ち砕き、アメリカ史における重要な転換点となりました。

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