スローン・スクエア

スローン・スクエア：ロンドンの洗練と歴史が交差する場所

ロンドン、ケンジントン・アンド・チェルシー王立区に位置するスローン・スクエアは、単なる公園の枠を超え、洗練されたライフスタイルと豊かな歴史を象徴する場所です。その名は、大英博物館の設立に貢献した医師、ハンス・スローンに由来しています。18世紀、不動産業者チャールズ・カドゥガン2世による都市開発計画「ハンス・タウン」の一環として整備され、スローン家の土地の一部を含んでいたことから、この名が付けられました。

公園から広がる高級エリア

東西約100メートル、南北約30メートルの長方形の公園であるスローン・スクエアは、十字架やビーナス像の噴水など、歴史を感じさせるモニュメントが配置されています。柵や壁に囲まれておらず、オープンスペースとして周辺の街と一体化しているのが特徴です。

公園を取り囲むように、エルメスやグッチなどの高級ブランドブティック、閑静なアパートメント「スローン・ガーデン」が建ち並び、その高級感あふれる街並みは、ダイアナ元妃やキャサリン妃も愛したエリアとして知られています。公園の近くには、ロイヤル・コート・シアター、ピーター・ジョーンズ百貨店、サーチ・ギャラリーなどのランドマークも存在します。

スローン・ストリート：ハイブランドが立ち並ぶ洗練された通り

スローン・スクエアから北へ伸びるスローン・ストリートは、約1キロメートルに渡ってハイブランドの旗艦店が軒を連ねる、ロンドンのファッションの中心地です。ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチなど、世界的に有名なブランドがここに集積しています。

ストリートの中間地点には、東西に走るポント・ストリートと交わる交差点があり、そこから南西にはカドゥガン・スクエア公園とカドゥガン・プレイスのアパートメント群が広がります。「ミニの女王」マリー・クヮントも、このエリアで事業を始めました。

一方、スローン・スクエアの南側にはローワー・スローン・ストリートが延び、テムズ川へと繋がっています。

スローン・レンジャー：流行の発信地から生まれた造語

スローン・スクエア周辺の高級住宅街に住む、流行に敏感な若者たちを指す「スローン・レンジャー」という言葉は、1980年代初頭に生まれました。「ローン・レンジャー」という西部劇の主人公の名前にかけた造語で、当初はスローン・スクエア近辺の店で服を買う若い女性たちを指していました。

作家アン・バールとピーター・ヨークによる共著『ザ・オフィシャル・スローン・レンジャー・ハンドブック』の出版によって、この言葉は広く知られるようになり、ダイアナ元妃もスローン・レンジャーの代表格として紹介されました。この言葉は、必ずしも好意的な意味合いではなく、皮肉として使われる場合もあります。

スローニー：伝統と現代が融合したファッション

スローン・レンジャーのファッションスタイルを指す「スローニー」は、気品のある伝統的なスタイルに現代的な要素を取り入れた、コンサバティブながらも洗練されたファッションです。キャサリン妃が好んだスタイルとしても知られ、日本でも話題となりました。ケイト・モスも現代のスローニー・スタイルの代表格と言えるでしょう。

環境整備とアクセス

スローン・スクエア周辺の環境整備については、2007年に住民投票で反対多数により計画が却下されましたが、その後も一部の整備が進められています。

最寄りの駅は、スローン・スクエア駅（地下鉄サークル線・ディストリクト線）とナイツブリッジ駅（地下鉄ピカデリー線）です。両駅ともロンドンバスの停留所が近くにあります。

まとめ

スローン・スクエアは、歴史、ファッション、そして上流階級のライフスタイルが複雑に絡み合う、ロンドンの象徴的な場所です。公園を起点に広がる高級エリア、そしてそこから生まれた言葉やファッションは、イギリス文化の多様な側面を映し出しています。

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