スーパーライナー (客車)

アムトラック・スーパーライナー：アメリカ大陸を駆け抜ける二階建て客車

アムトラックが保有するスーパーライナーは、アメリカ合衆国の長距離列車を象徴する存在です。その特徴的な二階建て構造と快適な車内空間は、長旅の疲れを癒やすオアシスとなっています。本稿では、スーパーライナーの歴史、車両の種類、技術的な側面、そして現在運行されている路線について詳しく解説します。

スーパーライナーの起源と製造

スーパーライナーのルーツは、1950～60年代にアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道が運用していた「エル・キャピタン」で使用されていたハイレベル客車に遡ります。このハイレベル客車の設計を基に、アムトラックは1979年から1981年にかけて、プルマン社で300両以上のスーパーライナーIを製造しました。その後、1993年にはボンバルディア・トランスポーテーション社が製造した改良型のスーパーライナーIIが登場し、現在も多くの路線で活躍しています。ステンレス鋼製の車体は耐久性に優れ、長年にわたる運行に耐えうる設計となっています。

多様な車両タイプ

スーパーライナーには、様々なタイプの車両が存在します。主な車両タイプは以下の通りです。

スリーパー（寝台車）: 個室タイプの寝台車で、快適な睡眠空間を提供します。二段ベッドを備えた個室のほか、シャワー・トイレ付きのデラックスルームや、家族向けの個室なども用意されています。
コーチ（座席車）: 広々とした座席スペースが特徴で、リクライニングシートはゆったりとしたシートピッチを確保しています。身体障害者用の客室やトイレなども完備されています。
バゲージコーチ（荷物・座席合造車）: 荷物室と座席スペースを併設した車両で、一部車両は荷物室が喫煙所やゲームセンターに改装されています。
コーチ・カフェ: カフェを併設した座席車です。軽食や飲み物を提供し、旅の途中で気軽に休憩できます。
ダイナー（食堂車）: 2階が食堂、1階がキッチンとなっている車両です。本格的な食事を堪能できます。
ラウンジ: 広々としたラウンジスペースがあり、くつろぎながら旅を楽しめます。天窓からは自然光が差し込み、開放的な空間となっています。
トランジションドーム: ハイレベル客車と通常の高さの客車をつなぐためのアダプター車両です。乗務員用の仮眠設備も備えています。

スーパーライナーのメカニズム

スーパーライナーは、機関車の発電機から電力を供給するヘッドエンドパワー方式を採用しています。これにより、安定した電力供給が確保され、車内の空調や照明などを快適に利用できます。また、スーパーライナーIは空気ばね付きSミンデン台車を、スーパーライナーIIはイコライザー式台車を装備しており、乗り心地の向上に貢献しています。重心が高いことから、ボルスタアンカーが装着されているのも特徴です。

スーパーライナーの運行路線

スーパーライナーは、全高が4.9メートルと高いため、架線集電方式の電化区間のある路線には乗り入れできません。ただし、第三軌条集電方式の電化区間には乗り入れ可能です。現在、スーパーライナーは、以下のような長距離路線で運行されています。

キャピトル・リミテッド（ワシントンD.C. - シカゴ）
オートトレイン（ローートン - サンフォード）
サンセット・リミテッド（ニューオーリンズ - ロサンゼルス）
テキサス・イーグル（シカゴ - ロサンゼルス）
カリフォルニア・ゼファー（シカゴ - エメリービル）
シティ・オブ・ニューオーリンズ（シカゴ - ニューオーリンズ）
サウスウェスト・チーフ（シカゴ - ロサンゼルス）
エンパイア・ビルダー（シカゴ - シアトル/ポートランド）
ハートランド・フライヤー（フォートワース - オクラホマシティ）
* コースト・スターライト（シアトル - ロサンゼルス）

まとめ

スーパーライナーは、その快適性と長距離路線での活躍により、アムトラックを代表する車両となっています。今後も、アメリカ大陸を横断する旅の象徴として、人々の思い出を彩り続けることでしょう。

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