セフトリアキソン

セフトリアキソン（Ceftriaxone）

セフトリアキソンはセフェム系に属する抗生物質で、特に多様な細菌感染症の治療に効果があります。先発商品名はロセフィンで、日本では中外製薬によって製造販売されています。この薬は第三世代のセファロスポリンとして知られ、細菌の細胞壁合成を抑制することで抗菌作用を発揮します。

概要

セフトリアキソンは、様々な細菌感染症に対して処方される抗生物質であり、特に以下の感染症に効果があります：中耳炎、心内膜炎、髄膜炎、肺炎、骨と関節における感染、腹腔内感染、皮膚感染、尿路感染、淋病、骨盤腹膜炎など。これに加えて、手術前、または咬傷後の感染を防ぐためにも使用されることがあります。

この抗生物質の投与方法は主に点滴または筋肉注射であり、治療の目的に応じて選択されます。セフトリアキソンは1980年代初頭にホフマン・ラ・ロシュによって発見された医薬品で、WHOの必須医薬品リストに含まれています。これは、安全で効果的な医療制度に必要とされる薬品の一部であり、すでに特許が切れているため、後発医薬品として入手可能です。2014年には、先進国において1回の投与にかかるコストは約0.20から2.32米ドルでした。米国での通常の治療費は、一般的に25ドル以下です。

日本では、元々中外製薬がロシュからライセンスを受けて発売していましたが、特許切れにより、2018年末までに販売権が太陽ホールディングスに譲渡されています。

適応症

セフトリアキソンは、特定の細菌に対して感受性を示します。これには、ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、淋菌、大腸菌、シトロバクター、クレブシエラ、エンテロバクター、セラチア、プロテウス、モルガネラ、プロビデンシア、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス、バクテロイデス、プレボテラなどが含まれます。

具体的な適応症としては、敗血症、咽頭炎、急性気管支炎、呼吸器感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、子宮関連感染、化膿性髄膜炎などがあり、広範囲な疾患に対して効果を発揮します。

副作用

セフトリアキソンを使用する際には、一般的な副作用として、注射部位の痛みやアレルギー反応が挙げられます。その他にも、クロストリジウム・ディフィシルによる下痢、溶血性貧血、胆石、発作などが稀に見られることがあります。特に、ペニシリンにアレルギー反応を示す人には推奨されませんが、軽度のアレルギー反応のある患者には使用されることがあります。また、静脈点滴投与でカルシウムを併用する際は注意が必要です。

妊娠中や授乳中の使用についても比較的安全であることが示唆されていますが、使用する際は医師の指示を仰ぐことが重要です。セフトリアキソンは、その実績と幅広い用法から、医療現場で重要な位置を占める医薬品です。

もう一度検索