タラマンカ山脈

タラマンカ山脈：コスタリカとパナマの国境に輝く自然の宝庫

タラマンカ山脈は、コスタリカとパナマの国境に位置する、生物多様性のホットスポットとして知られる山脈です。その大部分はラ・アミスター国際公園として保護されており、コスタリカとパナマの両国によって管理されています。コスタリカ領内は1982年に、パナマ領内は2000年に生物圏保護区に指定され、ユネスコの世界遺産にも登録されました。この山脈は、その独特な生態系と、多くの固有種を含む多様な動植物が生息することで、世界的に重要な地域とされています。

地理的特徴

タラマンカ山脈は、地殻変動によって形成された非火山性の山脈です。最高峰はコスタリカとパナマの両国最高地点であるチリポ山で、標高は3819メートルに達します。二番目に高い山はムエルテ山で、こちらは比較的登りやすいとされています。山脈のカリブ海側は、手つかずの自然が残る地域が多く存在します。一方、パナマ側には、活火山であるバル火山が存在します。

多様な生態系

タラマンカ山脈周辺の低地には、熱帯雨林や雲霧林が広がっており、カリブ海沿岸にはマングローブ林も見られます。標高3000メートル付近までの山脈は、オークの混交林を含むタラマンカ山岳森林帯に覆われています。特に、標高1800メートル以上では、オークの巨木であるクエルクス・コスタリケンシスが優占する地域となり、クエルクス・コルガータも生育しています。

標高3000メートルを超えると、森林は徐々にサブ・パラモと呼ばれる植生に移行し、灌木や背の低い竹が目立つようになります。さらに標高3400メートル以上では、熱帯高山草原であるコスタリカ・パラモが広がります。サブ・パラモとパラモの植生は、夜間の霜や、標高3200メートル地点で零下5度まで下がる気温といった厳しい環境条件に適応したものです。カムク山のパラモは、特に豊かな植生を誇っています。

貴重な動植物

タラマンカ山脈は、多くの動植物の固有種が生息する、生物多様性の宝庫です。ベアードバク、ジャガー、ピューマ、オセロット、ジャガランディ、セアカリスザル、ジェフロイクモザル（亜種Ateles geoffroyi ornatus）、アカマザマなどの大型哺乳類や、キマユコオニキバシリ、ケツァール、猛禽類などの鳥類も多く生息しています。しかし、これらの動物たちの多くは、生息地の破壊や密猟などによって生存が脅かされています。また、アメリカバクの生活の痕跡も見られるほか、ヤドクガエルのOophaga speciosaも生息しています。

ラムサール条約登録地：タラマンカ泥炭地

コスタリカ中部のリモン州、カルタゴのタパンティ国立公園とチリポ国立公園付近に位置する「タラマンカ泥炭地」は、2003年にラムサール条約登録地となりました。この地域には、オークのほか、カヤツリグサ科、イグサ科、ツツジ科、シシガシラ科、ミズゴケ科など、多様な植物が生育しています。

先住民の文化

タラマンカ山脈一帯には、先住民であるブリブリ族が居住しています。彼らは、伝統的な生活様式を守りながら、自然と共生しています。

タラマンカ山脈は、その豊かな自然と生物多様性、そして先住民の文化が息づく、かけがえのない地域です。しかし、環境破壊や気候変動など、多くの脅威にさらされています。この貴重な自然を守り、未来世代に引き継いでいくために、持続可能な開発と保護活動が求められています。

外部リンク

Turberas de Talamanca | Ramsar

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