ダニエル・バターフィールド

ダニエル・アダムズ・バターフィールド

ダニエル・アダムズ・バターフィールド（1831年10月31日 - 1901年7月17日）は、アメリカの実業家であり、南北戦争では北軍の将軍として活躍しました。戦後には、アメリカ合衆国財務官補を務めましたが、そのキャリアは「暗黒の金曜日」として知られる金市場のスキャンダルによって影を落としました。しかし、南北戦争における勇敢な行動が認められ、名誉勲章を受章しています。

初期の経歴

バターフィールドは、ニューヨーク州ウティカで生まれました。1849年にユニオン大学を卒業し、実業家としての道を歩み始めます。父と共にアメリカン・エキスプレスを共同設立するなど、ニューヨークとアメリカ南部で様々な事業を展開しました。彼は、陸軍に入る以前は、ビジネスの世界で成功を収めていました。

南北戦争での活躍

1861年、サムター要塞の戦いが勃発すると、バターフィールドは軍隊経験がほとんどないにも関わらず、アメリカ陸軍に入隊しました。わずか数週間で大佐に昇進し、その後、准将へと昇りつめました。ジョージ・マクレラン少将のポトマック軍に所属し、半島方面作戦では、フィッツ・ジョン・ポーター少将の軍団で戦いました。ゲインズミルの戦いでは負傷しながらも、その勇敢さが認められ、後に名誉勲章を受章することとなりました。

「タップス」の作曲

バターフィールドは、七日間の戦いの後、軍隊ラッパを試す中で、有名な旋律「タップス」を作曲したとされています。これは、埋葬の際に使われる3回の一斉射撃に代わるものとして考案されました。また、フランスの軍隊ラッパである「タトゥー」に代わるものでもありました。バターフィールドのラッパ手であったオリバー・W・ノートンが最初にこの旋律を演奏しました。数ヶ月のうちに、「タップス」は北軍だけでなく、南軍でも演奏されるようになりました。ただし、この「タップス」の作曲者については異論もあり、バターフィールドは既存の「タトゥー」を編曲したに過ぎないという主張もあります。

戦争後半の活躍

バターフィールドは、第二次ブルランの戦いやアンティータムの戦いでも旅団長として戦い、その後、師団長、そして第5軍団長に任命されました。フレデリックスバーグの戦いでは、彼の軍団は大きな損害を被りました。その後、ジョセフ・フッカー少将がポトマック軍の指揮官に就任すると、バターフィールドは参謀長となりました。フッカーとは親密な関係を築き、軍の士気向上に努めました。また、兵士が所属する部隊を示す帽章を導入するなど、軍の慣習にも貢献しました。

ゲティスバーグの戦いとその後

ゲティスバーグの戦いの直前に、フッカーはジョージ・ミード少将に交代しました。ミードはバターフィールドを信用しませんでしたが、参謀長に留め置きました。ゲティスバーグの3日目に負傷し、その後の治療のため戦線を離脱しました。その後、ミードを批判し、その評判を傷つけました。その後、カンバーランド軍のフッカーの参謀長として復帰し、アトランタ方面作戦の前半を指揮しました。健康上の理由で野戦指揮官としての任務を終えた後は、ニューヨーク州で徴兵と港湾軍の指揮官を務めました。

戦後のスキャンダル

戦後、ユリシーズ・グラント大統領により、バターフィールドはアメリカ合衆国財務官補に任命されました。しかし、彼は、投機家と共謀して、金市場を操作しようとしました。この計画は、グラント大統領が政府所有の金を売却したことによって頓挫し、1869年9月24日には「暗黒の金曜日」と呼ばれる金市場の崩壊を引き起こしました。この事件は、バターフィールドのキャリアに大きな傷跡を残しました。

晩年と死

1886年、バターフィールドはニューヨークでジュリア・J・ジェームズと結婚しました。彼はニューヨーク州コールドスプリングで亡くなり、ウェストポイント墓地に埋葬されました。彼の葬儀では、「タップス」が演奏されました。

遺産

バターフィールドの功績は、ニューヨーク州コールドスプリングにあるバターフィールド救急医療隊や、マイケル・シャーラの小説『The Killer Angels』の中で語り継がれています。マンハッタンのサクラ公園には、彼の彫像が建てられています。

その他

バターフィールドは、1862年に陸軍の野戦教本『歩兵のキャンプと前哨基地任務』を著しました。

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