ダブル・ベース・ドラム

ダブルベースドラムとは

ダブルベースドラムとは、ポピュラー音楽、特にハードロックやヘヴィメタルにおいて、2つのバスドラムをセットしたドラムセット、またはその演奏技法を指します。ツー・バスという呼称もあります。

概要

ダブルベースドラムは、速いテンポが特徴のスラッシュメタルや、ブラストビートを多用するデスメタルなどでよく用いられます。しかし、樋口宗孝のようにシングルベースドラムにこだわるドラマーや、ジェイソン・ルロのようにダブルペダルを使用するドラマー、ニコ・マクブレインのようにシングルベースドラムでダブルベースドラム並みのプレイをするドラマーも存在します。

ポップスでの使用は一般的ではありません。また、ドラムマシンや打ち込みが主流のテクノ・ミュージックでは、生ドラムの使用自体が少ないため、ダブルベースドラムはあまり用いられません。しかし、P-MODELの上領亘のように、ダブルベースドラムセッティングを行うドラマーも存在します。

ダブルベースドラムを使用する主な目的は、シングルベースドラムでは不可能な連打を可能にすることや、異なる口径のバスドラムを使用することで対応力を高めることなどが挙げられます。スペースの関係などでダブルベースドラムが難しい場合は、ダブルペダルを使用することもあります。また、正確性を高めるために、シングルベースドラムでも演奏可能なフレーズをダブルベースドラムで演奏するケースもあります。

シングルベースドラムの場合、バスドラムは正面にセットすることが多いですが、ダブルベースドラムではバスドラムを八の字型にセットするのが一般的です。近年では、場所を取る、タムの位置が高くなるなどの理由から、ダブルベースドラムからシングルベースドラム+ダブルペダルに移行するドラマーが増えています。

起源

最初に2つのバスドラムをセッティングしたのは、ジャズドラマーのルイ・ベルソンだと言われています。ルイ・ベルソンのアイデアをロックに取り入れたのは、元クリームのドラマー、ジンジャー・ベイカーです。カーマイン・アピスもほぼ同時期にダブルベースドラムをロックに取り入れた人物として知られています。現在、ジャズでダブルベースドラムを使用するドラマーは少ないですが、サイモン・フィリップスはその一人です。

トリプルベースドラム

トリプルベースドラムは、3つのバスドラムをセッティングしたものです。ダブルベースドラムとの違いはバスドラムの数だけですが、使用者の意図は大きく異なる場合があります。トリプルベースドラムを使用する理由は、連打のためだけでなく、純粋にそのバスドラムの音を求めるという場合もあります。ドリーム・シアターのマイク・ポートノイやJanne Da Arcのshujiなどがトリプルベースドラムを使用しています。マイク・ポートノイは、独立したダブルベースドラムのセットとシングルベースドラム（ダブルペダル）のセットを並べて使用し、曲によって叩き分けていました。shujiは、26インチのバスドラム2つに加え、リズムやアクセント用に20インチのバスドラムをセットしています。LUNA SEAの真矢は、3つ全て異なる口径のバスドラムを使い分けていました。

トリプルベースドラムのセッティングは、ダブルベースドラムとは異なる場合があります。真矢は3つ、村上“ポンタ”秀一は4つのバスドラムを一直線上に並べています。shujiのように、2つのバスドラムを八の字にセットし、さらに奥にもう1つのバスドラムをセットするドラマーもいます。

テリー・ボジオは、最大で8つものバスドラムを使用します。彼のスタイルは、アコースティックドラムによるメロディ演奏であり、音程を合わせた大小さまざまなバスドラムと複数のハイハットでフレーズを構築するために、多数のバスドラムを必要とします。そのため、足元にはバスドラム用だけでなく、ハイハットやパーカッションを鳴らすための大量のペダルボードが並んでいます。