テミステー

テミステー（古希: Θεμίστη, Themistē）は、ギリシア神話に登場する女性であり、その名前は長母音を省略してテミステとも表記されます。彼女の出自については、いくつかの異なる伝承が存在しますが、一般的にはトロイアの王イーロスとアドラストスの娘であるエウリュディケー、あるいはレウキッペーの娘とされています。どちらの説においても、彼女はラーオメドーンと兄弟関係にあるとされています。

テミステーは、アッサラコスの子であるカピュスと結婚し、その間に二人の息子をもうけました。彼らはアンキーセースとラーオコオーンであり、どちらもトロイアの重要な人物として神話に登場します。アンキーセースは、女神アプロディーテーとの間に英雄アイネイアースをもうけ、トロイアの滅亡後、ローマの建国に繋がる重要な役割を果たします。ラーオコオーンは、トロイア戦争中に、トロイアの木馬を警戒し、その危険性を指摘したことで知られていますが、その後、海蛇によって殺されるという悲劇的な運命をたどります。

テミステーの家系は、トロイア王家と深く結びついており、彼女の息子たちがトロイアの歴史において重要な役割を果たすことからも、その重要性が理解できます。彼女の存在は、トロイアの系譜を語る上で欠かせない要素であり、ギリシア神話における女性の役割の一側面を示しています。

系図

イーロス （またはレウキッペー）
テミステー
カピュス
アンキーセース
ラーオコオーン

参考文献

アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫（2005年）
高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店（1960年）

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