デューク・オブ・ヨーク (戦艦)

イギリス戦艦 デューク・オブ・ヨーク

「デューク・オブ・ヨーク」は、イギリス海軍が建造したキング・ジョージ5世級戦艦の3番艦です。当初は「アンソン」と命名される予定でしたが、後に「デューク・オブ・ヨーク」へと改名されました。

第二次世界大戦での活躍

本艦は第二次世界大戦において、大西洋および太平洋戦線で目覚ましい戦歴を残しました。

大西洋の戦い

1943年12月26日、北岬沖海戦においてドイツ海軍の戦艦「シャルンホルスト」を共同で撃沈する殊勲を挙げました。この海戦での活躍は、「デューク・オブ・ヨーク」の名を大いに高めることとなりました。

太平洋戦線への投入

ドイツ戦艦「ティルピッツ」が無力化された後、「デューク・オブ・ヨーク」はイギリス海軍の主力艦艇と共にイギリス太平洋艦隊に編入され、太平洋戦線に投入されました。そして、1945年9月2日には、日本の降伏文書調印式に参加するという歴史的瞬間に立ち会いました。

大戦中、「デューク・オブ・ヨーク」は常に第一線で活躍し、その間、5名もの海軍提督が本艦を旗艦として使用しました。

艦歴

「デューク・オブ・ヨーク」は、クライドバンクのジョン・ブラウン社で建造されました。

1937年5月5日起工
1940年2月28日進水
1941年11月4日竣工

竣工後、本国艦隊に所属し、ソ連向け輸送船団の護衛任務などに従事しました。

チャーチル首相との関わり

竣工直前の1941年8月、当時の国防大臣であったウィンストン・チャーチルは、シンガポール防衛計画に関して、海軍本部の計画とは異なる独自の提案を行いました。チャーチルは、新鋭戦艦「デューク・オブ・ヨーク」を中心とする小規模部隊を派遣することを主張し、既存のキング・ジョージ5世級戦艦は「ティルピッツ」対策として本国艦隊に残すべきであると主張しました。

アルカディア会談への随行

1941年12月12日、チャーチル首相はアメリカ合衆国へ向かう際、「デューク・オブ・ヨーク」に乗艦しました。厳冬の大西洋を横断する航海は困難を極めましたが、本艦は無事にチャーチルを目的地まで送り届けました。

ソ連向け輸送船団護衛

1942年3月以降、「デューク・オブ・ヨーク」はソ連向け輸送船団の護衛任務に頻繁に従事しました。PQ12船団やPQ13船団などの護衛に参加し、ドイツ海軍の脅威から輸送船団を守り抜きました。

アメリカ海軍との協同

1942年4月には、アメリカ海軍の戦艦「ワシントン」などからなる第39任務部隊がイギリス本国艦隊の指揮下に入り、「デューク・オブ・ヨーク」は「ワシントン」と演習を行いました。また、同年6月には、ヨーロッパ方面艦隊司令官ハロルド・スターク提督が「ワシントン」に乗艦し、一時的に同艦が司令部となりました。

北アフリカ戦線とハスキー作戦

1942年10月、「デューク・オブ・ヨーク」はH部隊の旗艦としてジブラルタルに派遣され、翌月のトーチ作戦を支援しました。1943年5月以降は、ハスキー作戦に関連する作戦に参加し、地中海方面での活動も行いました。

北岬沖海戦

1943年12月26日、「デューク・オブ・ヨーク」は北岬沖海戦において、ドイツ戦艦「シャルンホルスト」を撃沈する Centric な戦果を挙げました。本艦のレーダー管制射撃は極めて正確であり、「シャルンホルスト」に大損害を与え、その後の撃沈に大きく貢献しました。

極東へ

1945年4月、「デューク・オブ・ヨーク」はイギリス太平洋艦隊に所属となり、「アンソン」と共に出航しました。マルタ滞在中に電気回路の問題が発生したため太平洋への移動が遅れましたが、シドニーに到着したのは7月29日となりました。その時には、既に日本軍との戦闘で有意義な働きをするには遅すぎました。

日本降伏

1945年9月2日の日本の降伏調印式には、イギリス太平洋艦隊の旗艦として参加しました。その後、香港へ移動し、現地の日本軍部隊の降伏を受け入れました。

戦後

戦後、「デューク・オブ・ヨーク」は本国艦隊旗艦となり、1949年4月まで現役で活動しました。1951年11月に退役し、1957年5月18日に解体が決定しました。本艦の船鐘は保存され、ケニアのナイロビにあるデューク・オブ・ヨーク・スクール（現：レナナ・スクール）に贈られました。

主な活動

北洋船団護衛
北アフリカ戦線
南イタリア上陸
ティルピッツ警戒および空母機動部隊護衛
日本本土上陸予備作戦
日本降伏調印式参加

栄典

「デューク・オブ・ヨーク」は第二次世界大戦の戦功により、以下の3つの戦闘名誉章を受章しました。

ARCTIC 1942-43
NORTH AFRICA 1942
NORTH CAPE 1943

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