デラウェア級戦艦

デラウェア級戦艦：アメリカ海軍初の弩級戦艦

デラウェア級戦艦は、アメリカ海軍が建造した最初の弩級戦艦であり、その後の戦艦設計に大きな影響を与えました。イギリス海軍のドレッドノートに対抗するため、サウスカロライナ級戦艦をベースに大幅な強化が図られました。本級は、12インチ連装砲塔を5基搭載し、片舷10門という強力な火力を誇り、20ノットの高速を発揮することができました。

概要

アメリカ海軍は、イギリスのドレッドノートの出現に刺激され、サウスカロライナ級よりも高性能な戦艦を求めていました。議会からの予算制限はあったものの、ドレッドノートの情報を基に、より大型で強力な戦艦の建造が認められました。サウスカロライナ級との主な違いは、主砲の数と速度です。デラウェア級は、12インチ連装砲を1基増やし、片舷の火力を10門に強化、さらに新機関の採用により速度を2.5ノット向上させました。また、副砲も強化され、5インチ速射砲が新たに搭載されています。

デラウェアは1924年に解体処分されましたが、ノースダコタはワシントン海軍軍縮条約により無線操縦の標的艦に改装され、1931年まで使用されました。その後、解体処分となりました。

艦形

デラウェア級の船体形状は、前級のサウスカロライナ級が長船首楼型だったのに対し、短船首楼型を採用しています。これは、武装強化に伴う艦形肥大化を防ぐための工夫でした。艦首は浮力確保のために膨らみを持たせ、1・2番主砲塔を背負い式に配置しています。艦上構造物は2番主砲塔の基部から始まり、操舵装置を備えた司令塔がそびえ立ちます。司令塔の後方には、アメリカ海軍の大型艦の特徴である籠状の前部マストが立ち、船橋が設けられていました。船橋には航海艦橋と露天の見張り所があり、前部マストの後方には1番煙突が配置されています。艦載艇は、艦載艇置き場から探照灯台を基部とするクレーンで運用され、1番煙突の後方には籠状の後部マスト、そして2番煙突、後部見張所と続きます。後部甲板上には、後ろ向きに3番主砲塔が、その下に4番、5番主砲塔が背中合わせに配置されました。

本級の舷側には、12.7cm速射砲が1番主砲塔の側面に独立して配置されましたが、波浪の影響を受けやすいため、後に2番主砲塔の側面に移設されています。その他、ケースメイト配置で片舷7基ずつ、合計14基の12.7cm速射砲が搭載されていました。

武装

主砲

デラウェア級の主砲は、Mark 6 30.5cm（45口径）砲です。この砲は、重量394.6kgの砲弾を最大射程18,290mまで届かせることができ、射程10,920mでハーヴェイ製装甲251mmを貫通する能力がありました。主砲塔の旋回角度は左右150度、俯仰能力は仰角15度、俯角5度です。砲の操作は主に電力で行われ、発射速度は毎分2〜3発でした。しかし、軽量弾を高初速で撃ち出すために、斉射時の衝撃波干渉や、船体の揺れによる照準の狂いという問題がありました。また、当時のイギリスやフランスの戦艦に比べ、射撃指揮装置が未装備であったという弱点もありました。

第一次世界大戦後、ユトランド沖海戦の戦訓から、本級にも射撃指揮装置が装備されましたが、時代は超弩級戦艦に移っており、主砲塔の改造や新型重量弾の開発は行われませんでした。既存の主砲弾には被帽が取り付けられ、初速を減じて射撃する運用に改められ、これにより貫通力が向上しました。

副砲、その他備砲、雷装

副砲として、1910年型12.7cm（51口径）速射砲が採用されました。この砲は、最大射程13,720mで、片舷7基ずつ計14基搭載されました。発射速度は毎分6発でした。

その他、対艦用に53.3cm魚雷発射管が2門、就役後には対空火器として1914年型76.2cm（50口径）高角砲が搭載され、最終的に8基となりました。

機関

デラウェア級は、速力向上のために主ボイラーを増やし、バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭専焼水管缶を14基搭載しました。1番艦の「デラウェア」は直立型3段膨張式4気筒レシプロ機関を、2番艦の「ノースダコタ」はカーチス式ダイレクトドライブ（直結）型タービンを装備しました。公試運転では、最大出力25,000馬力で速力21ノットを発揮しました。しかし、「ノースダコタ」は直結タービンの燃費が悪く、航続距離が短いことが判明し、後にイギリス製のパーソンズ式ギヤードタービンに換装されました。このタービンは性能が良く、「ノースダコタ」の廃艦時に「ネヴァダ」に移植されました。

同型艦

デラウェア：1909年進水、1910年就役、1923年除籍。
ノースダコタ：1909年進水、1910年就役、1923年退役、1931年除籍。

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧

参考図書

「世界の艦船 増刊第22集 近代戦艦史」（海人社）
「世界の艦船 増刊第83集 近代戦艦史」（海人社）
「世界の艦船 増刊第28集 アメリカ戦艦史」（海人社）
「Conway All The World's Fightingships 1906–1921」（Conway）
「Conway All The World's Fightingships 1922-1946」（Conway）
「Jane's Fighting Ships Of World War I」（Jane）

外部リンク

US Navy page on the class - ウェイバックマシン（2001年2月11日アーカイブ分）

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