デリーの戦い (1757年)

デリーの戦い

デリーの戦いは、1757年8月11日から8月30日までの間、インドのデリーでマラーター王国とアフガン勢力のローヒラー族との間に繰り広げられた重要な戦闘です。この戦闘の背景には、アフガン王アフマド・シャー・ドゥッラーニーのインド北部への侵攻があります。

戦闘の経緯

1756年12月、アフマド・シャー・ドゥッラーニーは、マラーター王国に対抗するため、ムガル帝国の宮廷内の支持を受けてインドへ遠征を開始しました。彼は1757年1月にデリーを占領し、その後、略奪や殺戮を行った後に4月には撤退します。この時、ムガル帝国の皇帝アーラムギール2世は一時的に帝位を維持したものの、ナジーブ・ハーンが実権を掌握することになります。

アフガン軍の動きに対抗するために、マラーター王国の宰相バーラージー・バージー・ラーオは、弟ラグナート・ラーオをデリーに派遣しました。彼らはマルハール・ラーオ・ホールカルと合流し、合計で約100,000人の軍勢をデリーへ向け進ませました。

1757年7月末、マラーター軍はデリーに到着し、ジャムナー川の岸に陣を構えました。一方、ナジーブ・ハーンは武将たちと共にデリー城に籠城し、侵攻に備えていました。

戦闘の開始

8月10日、マラーター軍の一部がデリー郊外に侵入し、翌日の戦闘開始に至ります。マラーター軍には、帝国の宰相であるガーズィー・ウッディーン・ハーンやアフマド・ハーン・バンガシュが加わり、ナジーブ・ハーンは彼らによる攻撃に応じるため、精鋭の歩兵を率いて迎撃体制を整えます。戦闘は約2週間にわたり続きました。

ナジーブ・ハーンはついにマラーター軍との講和を申し入れますが、その条件は厳しく、具体的には500万ルピーの保釈金が要求されました。ナジーブ・ハーンはこれを拒否し、最終的には50万ルピーで合意します。また、デリーへの帰還とマラーターの城を奪取しないことを誓約させられました。

戦後の影響

戦闘の結果、マラーターはデリーの支配者となり、アーラムギール2世の保護も行いました。ラグナート・ラーオはデリーをアンタージー・マンケーシュワルに任せ、その後、ガンガー・ドアーブ地方に進軍しました。

1758年3月、彼はパンジャーブのラホールに進軍し、シク教徒の支援を得たことで、4月20日にラホールを占領（ラホールの戦い）しました。その後も次々と勝利を収め、ペシャーワルまで到達します。この征服は、マラーターがインド北西部での権力を確立するための重要なステップとなりました。

その後、マラーターの征服活動はアフマド・シャー・ドゥッラーニーの反撃を招き、最終的には第三次パーニーパットの戦いに繋がる結果となります。デリーの戦いは、インド史において戦略的に重要な出来事であり、地域の権力関係を大きく変える契機となりました。

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