デンマークの植民地

デンマーク植民地帝国の興亡：四大陸に及んだ海外領土の歴史

デンマークは、16世紀から20世紀にかけて海外に植民地を保有していた歴史を持ちます。その範囲はヨーロッパ、北アメリカ、アフリカ、アジアの四大陸に及び、最盛期には現在のガーナに拠点を置き、奴隷貿易で大きな利益を得ていました。

デンマーク植民地帝国の概要

デンマークは、カルマル同盟以降、ノルウェーとの同君連合体制を経て海外進出を開始しました。17世紀には、スカンディナヴィア半島内での領土を縮小を余儀なくされたデンマーク＝ノルウェーは、西アフリカ、カリブ海地域、インド亜大陸に要塞や貿易拠点を建設。クリスチャン4世の時代には海外貿易が重視され、1620年にはインド南海岸のトランケバルに初の植民地が建設されました。

ナポレオン戦争後の1814年にノルウェーがスウェーデンに割譲された際、ノルウェーが保有していた植民地はデンマーク領に留め置かれました。しかし、多くは後にイギリスに売却または割譲され、その領土は縮小していきました。

現在残るデンマーク領

現在、デンマークの海外領土として残っているのは、フェロー諸島とグリーンランドの2つのみです。これらはノルウェーから受け継いだ植民地であり、現在では自治領としてデンマーク本土と共に「デンマーク王国共同体」を形成しています。

アフリカ大陸の植民地

デンマークは、アフリカの黄金海岸（現在のガーナ）に、フレデリクスボー砦やクリスチャンスボー城などの貿易拠点や砦を所有していました。クリスチャンスボー城は西アフリカにおけるデンマークの拠点となり、西インド諸島への奴隷貿易の中心地となりました。しかし、1850年にはこれらの拠点をイギリスに売却し、アフリカから撤退しました。

アフリカの主な砦

フレデンスボー砦 (ニンゴ)
クリスチャンスボー砦 (アクラ/オス)
アウグスタボー砦 (テシ)
プリンセンシュタイン砦 (ケタ)

アメリカ大陸の植民地

グリーンランド

グリーンランドは、ヴァイキング時代にノルウェー人が入植し、1261年にノルウェー王国領、1397年にデンマーク＝ノルウェー領となりました。15世紀にノース人の植民地が消滅した後、1721年にハンス・エゲデがルター派の伝道のために再上陸し、植民地を再興しました。1814年にノルウェーがスウェーデンに割譲された際も、グリーンランドはデンマーク領として残りました。1953年にはデンマーク憲法が適用され、正式なデンマーク領となりました。

デンマーク領西インド諸島

デンマークは、1671年にセント・トーマス島、1718年にセント・ジョン島を獲得し、1733年にはセント・クロイ島を購入しました。これらの島は砂糖を経済基盤としていましたが、1917年にアメリカに売却され、アメリカ領ヴァージン諸島となりました。

アジアの植民地

17世紀から19世紀にかけて、デンマークはインド亜大陸各地に小規模な植民地や貿易拠点を建設しました。これらの植民地は、香辛料貿易や中国との貿易で繁栄しましたが、最終的にはイギリスに売却または割譲されました。

アジアの主な植民地

トランケバル
フレデリクスナゴル
* ニコバル諸島

大西洋の植民地

フェロー諸島

フェロー諸島は、1035年以降ノルウェー領でしたが、1814年のキール条約でデンマーク領となりました。1851年にはデンマーク憲法が施行され、正式なデンマーク領となりました。

アイスランド

アイスランドも、もともとノルウェー領でありながらキール条約でデンマーク領となりました。1918年にはアイスランド王国が成立し、デンマーク王との同君連合となりましたが、1944年に独立を宣言しました。

ヨーロッパ大陸の植民地

エストニア

13世紀から14世紀にかけて、デンマークは現在のエストニアの一部をエストニア公国として支配していました。

クールラント司教領

1559年、クールラントおよびウーゼル・ヴィーク司教が自身の領土をデンマーク王に売却しましたが、後にポーランド・リトアニア共和国が侵攻し、デンマークは継承権を売却しました。

現代におけるデンマーク領

現在、グリーンランドとフェロー諸島はデンマーク領であり、自治権を持ちながらデンマーク王国の一部として存続しています。

デンマークの植民地帝国は、その規模は大きくありませんでしたが、各地域との貿易を通じてデンマークの経済発展に貢献しました。そして、現在も残るグリーンランドとフェロー諸島は、デンマークの歴史と文化に深く根ざしています。

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