トップレベルドメイン(TLD)一覧とは、インターネット上で使用されるドメイン名システムの最上位に位置するドメイン名の種類をまとめた公式リストのことです。ウェブサイトのアドレスや電子メールアドレスの末尾に見られる `
.com`、`
.org`、`
.jp` といった部分がこれにあたります。
この一覧は、インターネット資源の割り当てを統括する機関である
Internet Assigned Numbers Authority (IANA) によって厳格に管理されています。IANAは、既存のTLDの情報を最新の状態に保つとともに、新たに提案されるTLDの評価および承認プロセスも監督しています。2021年9月時点では、約1500種類近い
トップレベルドメインが存在していますが、中には現在積極的に利用されていないものも含まれています。
IANAは、その機能や目的に応じて、
トップレベルドメインをいくつかの主要なカテゴリに分類しています。2015年時点での主な分類は以下の通りです。
インフラストラクチャ・トップレベルドメイン: 現在 `
.arpa` のみがこれに該当します。主にインターネットインフラストラクチャの技術的な用途のために予約されています。
ジェネリックトップレベルドメイン (gTLD): 特定の国や地域に紐づかない汎用的なドメインです。商用を意図した `
.com` や、非営利組織向けの `
.org` などが含まれます。インターネットの初期から存在するものと、
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)設立後に多数追加されたものがあります。登録には特定の資格や用途の制限がある場合とない場合があります。
制限付きジェネリックトップレベルドメイン (grTLD): gTLDの中でも、登録や利用に特定の条件が設けられているものです。
スポンサー付きトップレベルドメイン (sTLD): 特定のコミュニティや組織によって運営・管理されているドメインです。例えば、航空業界向けの `
.aero` や協同組合向けの `
.coop` などがあります。これらのドメインの利用には、スポンサーが定める基準を満たす必要があります。
国別コードトップレベルドメイン (ccTLD):
ISO 3166-1という国際標準規格で定められた国や地域に対応する2文字のコードで構成されるドメインです。日本の `
.jp` や
ドイツの `
.de`、
フランスの `
.fr` などがこれに該当します。
テスト用トップレベルドメイン (tTLD): ドメイン名システムのテスト目的のために設けられたドメインです。これらは永続的な利用を意図したものではなく、現在は廃止されています。かつては、各言語で「テスト」や「例」を意味するドメインがテスト用途に登録されていましたが、2013年に廃止されました。
その他の分類と新しいTLD
上記の主要な分類に加え、近年のインターネットの発展に伴い、多様な新しい
トップレベルドメインが登場しています。これには、特定の都市や地域を示す
地理的トップレベルドメイン(例: `
.tokyo`、`.london`)、特定の企業やブランド名がそのままTLDとなった
ブランドトップレベルドメイン(例: `.google`、`
.canon`)、さらにはアルファベット以外の文字を使用できる
国際化トップレベルドメイン (IDN TLD) が含まれます。
IDN TLDは、現地の言語や文字(日本語、
中国語、
アラビア語など)で記述された
トップレベルドメインを可能にし、世界中の人々がより使いやすいインターネット環境を実現することを目指しています。国際化された国別コードTLDや国際化ジェネリックTLD、国際化地理的TLD、国際化ブランドTLDなどが存在します。
管理と今後の展望
IANAによる
トップレベルドメイン一覧の管理は、インターネットの安定性と相互運用性を維持する上で非常に重要です。新しいTLDの導入プロセスは厳格な審査を経て行われ、インターネットコミュニティ全体の合意形成も重視されます。
トップレベルドメインはインターネット上の住所の重要な要素であり、その一覧はインターネットの多様な構造と進化を反映しています。これらのドメインは、ウェブサイトの信頼性や目的に関する情報を提供し、ユーザーがインターネット上のリソースを見つけやすくする役割を果たしています。
TLDの一覧は、IANAの公式ウェブサイトで常に公開されており、関連する情報として
ジェネリックトップレベルドメイン、国別コード
トップレベルドメイン、
ISO 3166-1規格、そしてセカンドレベルドメインなどがあります。これらはインターネットのドメイン名システム全体を理解する上で相互に関連しています。