トマス・セシル (初代エクセター伯爵)

初代エクセター伯爵トマス・セシル

初代エクセター伯爵トマス・セシル（Thomas Cecil, 1st Earl of Exeter, 1542年5月5日 - 1623年2月8日）は、イングランドの貴族であり、政治家としても活躍しました。彼は、エリザベス1世の治世下で重要な役割を果たしたウィリアム・セシルの長男として生まれ、その家系と自身の功績を通じて歴史に名を刻みました。

生い立ちと教育

1542年、トマス・セシルは、後にバーリー男爵となるウィリアム・セシルと、その最初の妻メアリーの間に生まれました。異母弟には、初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルがいます。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、その後グレイ法曹院に進みましたが、フランス留学中は学業よりも社交に熱心だったとされています。そのため、父ウィリアムは弟のロバートをより高く評価していたと言われています。

政治家としてのキャリア

トマス・セシルは、1563年から1567年、1571年、そして1572年から1583年にかけて、スタンフォード選挙区から選出され庶民院議員を務めました。その後、1584年から1587年まではリンカンシャー選挙区、1592年から1593年まではノーザンプトンシャー選挙区からも選出されています。1575年にはナイトに叙任され、1598年に父の死により第2代バーリー男爵位を継承しました。1605年にはエクセター伯爵に叙せられ、貴族としての地位を確立しました。また、1599年から1603年までは北部法廷議長とヨークシャー知事を務めました。

人物像と評価

トマス・セシルは、弟のロバートの才能が際立っていたため、父からあまり期待されず、日陰の存在であったと評されています。しかし、彼は父の弟贔屓を恨むことなく、弟の能力を高く評価し、常に支持しました。当時の人々からは、凡庸な人物であり、もし異なる親の元に生まれていたら、歴史に名を残すことはなかっただろうと評されています。

爵位と栄典

1598年8月4日：第2代バーリー男爵（1571年創設イングランド貴族爵位）
1605年5月4日：初代エクセター伯爵（イングランド貴族爵位）
1601年：ガーター勲章士（KG）

結婚と家族

1564年、トマス・セシルは第4代ラティマー男爵ジョン・ネヴィルの娘ドロシーと結婚し、5男8女をもうけました。子供たちの中には、第2代エクセター伯爵ウィリアム・セシル、サー・リチャード・セシル、初代ウィンブルドン子爵エドワード・セシルなどがいます。娘たちも、それぞれ有力な貴族と結婚し、その血筋を広げました。1610年には、第4代シャンドス男爵ウィリアム・ブリッジスの娘フランセスと再婚し、一女をもうけました。

子供たち

ウィリアム（1566年 - 1640年） - 第2代エクセター伯爵
ルーシー（? - 1614年） - 第4代ウィンチェスター侯爵ウィリアム・ポーレットと結婚
ミルドレッド（? - 1611年） - サー・トマス・リードと結婚、エドマンド・トラフォードと再婚
リチャード（1570年 - 1633年） - 庶民院議員
エドワード（1572年 - 1638年） - 初代ウィンブルドン子爵
メアリー（? - 1638年） - 初代ノリッチ伯爵エドワード・デニーと結婚
ドロシー（1577年 - 1613年） - サー・ジャイルズ・アリントンと結婚
エリザベス（1578年 - 1646年） - エドワード・コークと結婚
トマス（? - ?） - エスクワイア
フランセス（1580年/1581年 - 1653年） - 初代サネット伯爵ニコラス・タフトンと結婚

死と遺産

トマス・セシルは1623年2月7日に亡くなり、ウェストミンスター寺院に埋葬されました。彼の人生は、弟の陰に隠れがちであったものの、その子孫はイングランドの歴史の中で重要な役割を果たし続けました。

参考文献

石井美樹子『エリザベス 華麗なる孤独』中央公論新社、2009年。ISBN 978-4120040290。
クリストファー・ヒバート 著、山本史郎 訳『女王エリザベス〈下〉大国への道』原書房、1998年。ISBN 978-4562031474。

外部リンク

トマス・セシルの関連資料一覧 (英語) - イギリス国立公文書館。
Thomas Cecil, 1st Earl of Exeter (1542-1623) - ナショナル・ポートレート・ギャラリー（英語）
Thomas "Earl of Exeter" Cecil - Find a Grave（英語）

もう一度検索