トヨタ・チェイサー

トヨタ・チェイサー：スポーティな高級セダン

トヨタ・チェイサーは、1977年から2001年までトヨタ自動車が生産していた中型高級乗用車です。マークII、クレスタとは兄弟車にあたり、トヨタオート店（後のネッツ店）で販売されていました。スポーティーなデザインと走行性能が特徴で、幅広いユーザーに支持されました。

概要

チェイサーは、マークIIやクレスタと基本構造を共有しながらも、独自の個性を打ち出していました。特に、スポーツグレードである「GT」や「ツアラー」は、その走行性能の高さから人気を集めました。また、4気筒エンジン搭載の廉価グレードも充実しており、幅広いニーズに対応していました。

初代 X30/40系（1977年 - 1980年）

1977年6月、初代チェイサーが登場。マークIIの姉妹車として、日産・スカイラインに対抗するモデルとして開発されました。若年層をターゲットにしたスポーティーなモデルで、歴代唯一の2ドアハードトップも存在しました。CMには草刈正雄が出演。エンジンは1.8Lと2.0Lガソリンで、4ドアセダンと2ドアハードトップがありました。

1978年8月にはマイナーチェンジでエクステリアのデザインが変更され、1978年9月にはエンジンが換装されました。1979年3月には、全グレードで昭和53年排出ガス規制に適合しました。初代モデルの累計販売台数は10万5,957台でした。

2代目 X60系（1980年 - 1984年）

1980年10月、2代目チェイサーが登場。この代からクレスタも加わり、マークII3兄弟として知られるようになりました。2ドアハードトップは廃止され、4ドアセダンと4ドアハードトップのみとなりました。このモデルから、最高級グレードとして「アバンテ」が設定されました。CM出演者は草刈正雄から夏木陽介に変更。

1981年10月には2.0Lターボ車が追加され、1982年8月のマイナーチェンジでは、ツインカム24エンジンが搭載されました。1983年2月には、電子制御オートマチックが追加されました。2代目モデルの累計販売台数は11万9,015台でした。アニメ「超攻速ガルビオン」のオープニングテーマ「ロンリー・チェイサー」がCMソングに起用されたこともあります。

3代目 X70系（1984年 - 1988年）

1984年8月、3代目チェイサーが登場。このモデルから「アバンテ」はラグジュアリー系グレードとなり、4ドアハードトップのみとなりました。CM出演者はジャン・マイケル・ヴィンセントでした。エクステリアは、姉妹車に比べて全長が短く、よりスポーティーな印象でした。

1985年10月には、1G-GTEUエンジン搭載の「GTツインターボ」が登場。1986年8月にはマイナーチェンジで、エンジン改良や装備の充実が図られました。1987年には特別仕様車が多数発売されました。3代目モデルの累計販売台数は19万141台でした。トヨタオート多摩によってオープンカーに改造されたモデルも存在しました。

4代目 X80系（1988年 - 1992年）

1988年8月、4代目チェイサーが登場。バブル景気を背景に、高級感を追求したモデルとして人気を集めました。電動スライドアウトヒーターコントロールパネルやサテライトオーディオスイッチなど、豪華な装備が満載でした。ガソリンエンジンは全てDOHC化されました。スポーティーさを売りにしていたチェイサーでしたが、この代から上品さをアピールするようになりました。また、1.8Lエンジン搭載の「ラフィーネ」グレードが追加されました。

1989年8月には3.0Lモデルが追加され、1990年8月のマイナーチェンジではワイドボディモデルが追加されました。1992年9月に生産終了し、5代目モデルへとバトンタッチしました。

5代目 X90系（1992年 - 1996年）

1992年10月、5代目チェイサーが登場。全車3ナンバーとなり、CMには小説家の村上龍が出演しました。スポーツモデルの名称が「GT」から「ツアラー」に変更されました。1993年10月には4WDモデルが追加され、1994年9月にはマイナーチェンジでエクステリアデザインが変更されました。1996年8月に生産を終了しました。このモデルからチューニングカーのベースとしても人気が高まりました。

6代目 X100系（1996年 - 2001年）

1996年9月、6代目チェイサーが登場。このモデルでは、チェイサーは最もスポーティーな位置づけとなり、イメージキャラクターにホオジロザメが採用されました。丸型4灯ヘッドランプが特徴的でした。また、トヨタ初のディスチャージヘッドランプが採用されました。このモデルでは「ツアラー」グレードが特に人気を集めました。1997年には1.8Lモデルが追加されました。1998年にはマイナーチェンジでリアテールランプが丸型4灯に変更されました。2001年6月に生産終了し、24年の歴史に幕を閉じました。6代目モデルの累計販売台数は7万6,148台でした。

モータースポーツ

チェイサーは、全日本ツーリングカー選手権（JTCC）に参戦し、1998年には関谷正徳がドライバーズチャンピオンを獲得しました。また、チューニングカーのベース車としても人気が高く、ドリフト競技などでも活躍しています。

車名の由来

チェイサーは、英語で「追跡者・狩人」という意味です。グリルエンブレムには盾と弓矢の絵が描かれていました。

脚注

参考文献

徳大寺有恒 著 『ぼくの日本自動車史』 草思社、1993年
自動車史料保存委員会 編 『日本の自動車アーカイヴス 乗用車 1975-1981』 三樹書房、2010年

関連項目

トヨタ自動車
トヨタテクノクラフト
トヨタ・マークII
トヨタ・ヴェロッサ
トヨタ・クレスタ
トヨタ・クレシーダ
* トヨタ・マークX

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