トヨタ・ブリザード

ブリザード（BLIZZARD）

ブリザードは、日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車が販売を手がけ、製造はダイハツ工業が行ったクロスカントリータイプの四輪駆動車です。特に、トヨタの販売系列であるトヨタビスタ店の設立に合わせて、同チャネルの専売モデルとして市場に投入されました。

概要

本モデルは、ダイハツ工業が製造していたコンパクトSUV、タフト（初代）およびラガー（二代目）のOEM供給を受けていました。そのため、その設計思想はベース車両と同様に本格的なオフロード走行性能に重きを置いています。具体的には、頑丈なはしご型フレームを骨格とし、前後アクスルには堅牢なリーフスプリング式の固定軸サスペンションを組み合わせたシャシ構成を採用していました。これにより、コンパクトなボディサイズながらも高い悪路走破性を実現しています。

初代 LD10型（1980年 - 1984年）

初代ブリザードは、1980年 4月に発表され、ダイハツ・タフトのOEMモデルとしてデビューしました。心臓部には、トヨタ製の2.2L直列4気筒 SOHC渦流室式ディーゼルエンジン（L型、最高出力72馬力）が搭載されていました。ボディタイプは、タフトと同様にショートホイールベース仕様のみが提供され、当初は幌タイプと鋼板製のメタル（バン）タイプの2種類が用意されていました。トヨタの四輪駆動車ラインナップにおいては、ランドクルーザーの弟分という位置づけであり、トヨタビスタ店および沖縄トヨタで取り扱われました。

1980年7月には、トヨタビスタ店の開店を記念した特別仕様車「ビスタエディション」が限定販売されました。1981年10月には、FRP製のハードトップを備えるレジントップ仕様と、装備を充実させたデラックス仕様がラインナップに追加されます。1982年10月には、日本の昭和57年排出ガス規制に適合する改良が施されるとともに、マニュアルトランスミッションが4速から5速へ変更されました。なお、この世代にはオートマチックトランスミッションの設定はありませんでした。

2代目 LD2#型（1984年 - 1990年）

1984年 5月、ブリザードはフルモデルチェンジを実施し、ベース車両がダイハツ・タフトからラガーへと変更されました。これにより、ブリザードもラガーのOEMモデルとして第二世代へと移行します。ボディサイズは先代よりも一回り以上拡大され、内外装のデザインもより乗用車的な感覚を高めたものとなりました。この世代では、ボディタイプは4ナンバー登録のバンタイプのみが設定されました。ベースとなったラガーに用意されていたレジントップ仕様は、ブリザードでは設定されませんでした。

装備面では改良が進み、先代ではオプション設定だったフロントディスクブレーキが全車標準装備となりました。冷房装置についても、先代の吊り下げ式クーラーに代わり、エアコンがオプション設定として用意されるようになりました。エンジンは、トヨタ製の2.4L直列4気筒ディーゼルエンジンである2L型が搭載され、最高出力はグロス値で83馬力でした。

1985年9月には、ラインナップの拡充が図られます。新設されたディーゼルターボエンジン搭載のワゴンタイプに加え、既存のバンにもターボ仕様が追加設定されました。搭載されるエンジンは2.4Lの2L-T型ディーゼルターボで、最高出力はネット値で85馬力でした。

1987年9月にはマイナーチェンジが行われ、エクステリアに変更が加えられました。それまでの規格型丸形2灯式ヘッドランプが、規格型角形2灯式へと変更されました。上級グレードではハロゲンバルブ交換式となっています。

生産・販売終了とその後の流れ

ブリザードは、1990年3月に生産を終了し、以降は在庫対応分のみの販売となりました。そして、同年4月をもって販売も終了しました。ベースとなったダイハツ・ラガーはその後も生産が継続されましたが、トヨタのコンパクトクロスカントリー車は一旦ラインナップから姿を消すことになります。トヨタでは、ブリザードの販売終了と入れ替わるように、当時「ランドクルーザーワゴン」としてトヨタ店で扱われていたモデルが「ランドクルーザープラド」と改称され、トヨタ店とトヨタビスタ店の両チャネルで扱われるようになりました。

その後、トヨタのエントリーSUVとしては、1994年にカローラやセリカをベースとした乗用車ライクなモデル、RAV4が登場しますが、こちらはカローラ店とトヨタオート店（現在のネッツ店）での販売でした。コンパクトSUVの系譜としては、後に再びダイハツからのOEM供給を受ける形となり、キャミ（ラガーの後継であるテリオスの姉妹車、トヨペット店扱い）を経て、ラッシュ（トヨペット店）から現在のライズへと続いています。

車名の由来

「ブリザード（BLIZZARD）」という車名は、英語で「地吹雪」や「猛吹雪」といった激しい気象現象を意味する言葉に由来します。これは、その名の通り、厳しい自然環境や悪路をも走破できる力強いイメージを表すために名付けられたと考えられます。