トヨタ・プロボックス

プロボックス (Probox)

プロボックスは、トヨタ自動車が製造するライトバン型の自動車です。かつてはステーションワゴンタイプも存在しましたが、現在は商用バンとしての用途に特化しています。カローラバン/スプリンターバンの後継車として、ビジネスシーンでの使い勝手を徹底的に追求した専用設計が特徴です。

概要

2002年7月に発表・発売された初代モデルは、初代ヴィッツのプラットフォームをベースに開発されました。2014年9月には改良型が登場し、3代目ヴィッツや11代目カローラシリーズのプラットフォームが採用されています。姉妹車として、カルディナバンの後継となるサクシードが2020年まで販売されていました。2018年6月からは、マツダにファミリアバンとしてOEM供給されています。

2014年9月以降は、貨物車登録のバンモデルのみが販売されています。2013年10月までは、乗用車登録のワゴンモデルも設定されていました。

商用車でありながら、ベースとなったヴィッツやカローラの部品が流用可能であること、また、1500cc車でありながら比較的安価であること、車重が軽いことなどから、ドリフト走行やジムカーナなどの競技用車両としての需要も存在します。2015年からは、雑誌『Option』主催によるワンメイクレースも開催されています。近年では、そのパッケージングがアウトドア愛好家の間で注目され、車中泊に対応した改造例も見られるようになりました。

プロボックスは、基本的に日本国内専用車として開発されていますが、海外市場、特に新興国や発展途上国では自動車の資産価値が高いため、ロシアやモンゴル、東南アジア地域へ並行輸出されています。

開発経緯

プロボックスの開発コンセプトは以下の通りです。

日産・ADバンを凌駕する性能の確保
貨物車バンをメイングレードとし、使い勝手を追求
「シンプル イズ ベスト」：不要な加飾の排除による徹底したコストダウン

これらのコンセプトは、以下の要因に基づいて決定されました。

先代車であるカローラバン/スプリンターバンの陳腐化
カローラバン/スプリンターバンとカルディナバンの統合による合理化
対抗車種である日産・ADバンのフルモデルチェンジによる商用車市場でのシェア低下

初代モデル（2002年7月 - 2014年8月）では、コストを考慮し、フロントプラットフォームに初代ヴィッツ系のものを流用。車両総重量に見合った衝突安全性を確保するため、前端部を延長しました。リアフロアパンは、荷室容積を最大限確保するため、ショックアブソーバーを後傾させ、床下配置を可能とした専用品を新開発。後輪の足回りには、プロボックス&サクシード専用に開発された4リンク式車軸懸架を採用し、安定走行を実現しています。

インテリアは、カローラバン/スプリンターバンのユーザーへのリサーチに基づき、A4ファイルやB5サイズのモバイルノートパソコンが入る大型のドアポケット、カードホルダー、ペンホルダー、格納式テーブル、長距離走行でも疲れにくいシートなど、ビジネスユースにおける使い勝手を徹底的に追求。乗降用ドアノブには、コストの安いフリップ式ではなく、バーグリップ式を採用しています。

開発者の中に愛煙家がいたことから、空調の気流が灰皿の灰を飛ばさないように配慮された配置になっています。

カローラバンではステーションワゴンのスタイリングを優先し、ボディが丸みを帯びていましたが、プロボックスは荷室容積を最優先し、徹底的に絞り込みの少ないボディ形状としました。

安全面では、他のトヨタ車同様に衝突安全ボディGOAを採用。国土交通省の自動車アセスメントで最高レベルの評価を得ています。環境性能は、全グレードで超低排出ガス車認定を受けています。

2014年8月販売型 (XP16#V型・2014年 - )

2014年8月にはマイナーチェンジが行われました。1.3L車はDual VVT-iを搭載した1NR-FE型に置換され、全車のトランスミッションをSuper CVT-iに変更することで燃費が向上。安全面では、歩行者障害軽減ボディ構造を採用するとともに、VSC&TRC、ヒルスタートアシストコントロール、緊急ブレーキシグナルを全車に標準装備しました。トランスミッションは全車CVTとなり、従来の4速ATと5速MTは廃止されました。

2016年8月には一部改良が行われ、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティなどの安全装備が全車に標準装備されました。また、1.5L・2WD車にアイドリングストップ機能が標準装備され、燃費が向上しました。

2018年11月には、ハイブリッド車が追加設定されました。ハイブリッド車は、WLTCモードで22.6km/Lの燃費を達成し、「平成30年排出ガス基準75%低減レベル」認定を取得しています。

サクシードとの相違点

姉妹車であるサクシードとの主な相違点は、2014年のマイナーチェンジで共通化されましたが、一部仕様やグレード構成に違いがあります。

取扱販売店

プロボックスは、トヨタカローラ店で販売されています。

車名の由来

車名は、英語で「プロフェッショナル」を意味する「Pro」と「箱」を意味する「box」を組み合わせた造語で、「プロフェッショナルのための箱」という意味が込められています。

もう一度検索