トヨタ・ミニエース

ミニエース（MINIACE）

ミニエースは、トヨタ自動車が生産した小型トラック、バン、ワゴンのシリーズであり、1967年から1975年までの期間に市場に登場しました。本車両は、そのコンパクトなデザインと高いパフォーマンスが特徴です。

概要と沿革

ミニエースは1967年11月に初めて発売され、排気量800ccの空冷水平対向2気筒OHVエンジン（型式：2U-B）を搭載していました。このエンジンは、パブリカの商用モデルと同じもので、最大出力は36 ps（グロス値）を誇ります。一方で、トランスミッションやデファレンシャルギアの設定もそれに準じており、クラスでは高回転域でのトルクが伸びやかであることが特徴でした。最小回転半径は3.9mと、非常に取り回しの良さを持ち合わせていました。

この小型トラックは、軽トラックよりも大きな500kgの最大積載量を実現し、その価格は当時の競合モデルよりもかなり低い32.8万円でした。この価格競争力が売上に大きく貢献しました。また、荷台のバリエーションも多様で、低床や高床、さらには幌付き、鳥居付き、パネルバンといった様々なタイプが選べました。

1968年には、業務用と乗用としてのバリエーションが増加し、「ミニエースバン」と「ミニエースコーチ」をラインナップに加えました。これにより、使用目的に応じた選択肢が広がり、多くのユーザーに支持されました。1971年にはマイナーチェンジが実施され、外装や安全性能が向上しましたが、1975年には排出ガス規制の影響を受け、販売終了に至りました。これにより、空冷エンジンを搭載した日本の自動車市場における重要な歴史が幕を閉じました。

その後の影響

ミニエースの販売終了は、トヨタの小型商用車市場における影響をもたらしました。1980年代に入ってからは軽自動車規格の拡大により市場環境が変わり、軽トラックやバンへの需要が高まりました。このため、他の自動車メーカーは軽自動車を基盤にした新モデルを投入するようになります。トヨタ自身も、ライトエースやタウンエースといった新型モデルによってエントリークラス向けのニーズを満たす努力を続けました。

1970年代後半、トヨタはライトエースを発売し、キャブオーバートラック市場にも進出しました。さらに、2011年にはダイハツ・ハイゼットのOEM車としてピクシスバンとピクシストラックが投入され、軽商用車市場に再進出しました。これらの変遷を経て、ミニエースが残したレガシーはトヨタの商用車ラインアップに影響を与え続けています。

関連項目

• - トヨタ自動車
• - トヨタ・パブリカ
• - トヨタ・スポーツ800
• - トヨタ・トヨエース
• - トヨタ・ピクシストラック
• - トヨタ・ピクシスバン
• - トヨタ・スパーキー
• - ダイハツ・ニューラインキャブ

ミニエースは、そのデザインや機能性から多くのファンを魅了し、トヨタの歴史において特筆すべきモデルであると言えるでしょう。

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