トヨタ・bB

bB：トヨタの個性派コンパクトカー

トヨタがネッツ店向けに販売していたトールワゴン型コンパクトカー『bB』。その独特のデザインとカスタマイズ性の高さから、多くのユーザーを魅了したモデルです。本稿では、初代と2代目それぞれの魅力を詳しく解説します。

初代bB (NCP3#型): カスタマイズ文化の先駆け

2000年から2005年まで販売された初代bBは、ヴィッツをベースに開発されました。最大の特徴はその箱型ボディと、カスタマイズを前提とした設計です。発売に先駆け、東京オートサロンで多数のカスタムカーを展示するという、当時としては異例ともいえる発表方法を採用しました。これは、若年層を中心に広がりつつあった日本のカスタマイズ文化をいち早く取り込み、bBをその中心に据えるというトヨタの戦略を表しています。

シンプルなデザインでありながら、広い室内空間と優れた視界は多くのドライバーから支持されました。1300ccと1500ccの2種類のエンジンを用意し、ターボチャージャー装着車もラインナップ。さらに、トヨタのカスタマイズ部門「モデリスタ」や、人気アフターマーケットメーカーとコラボレーションしたモデルも展開、ユーザーは多様なカスタマイズを楽しむことができました。発売開始時の受注は計画の6.5倍にも上り、その人気ぶりがうかがえます。また、開発においてはバーチャルリアリティ技術を駆使した「フルデジタル設計」を採用するなど、先進的な取り組みも注目されました。ピックアップトラックタイプの「オープンデッキ」や、インターネット限定販売の特別仕様車なども登場し、バリエーションの豊かさも魅力の一つでした。

初代bBの主な改良点と特別仕様車

2000年8月: 排出ガス規制に対応した改良。
2000年12月: 特別仕様車「マジョーラ」発売（マジョーラカラー採用）。
2001年6月: ピックアップトラック「オープンデッキ」と限定車「iバージョン」発売。
2001年8月: 特別仕様車「クリスタルホワイトエディション」発売。
2002年1月: 特別仕様車「Z 煌Edition・X Version」発売。
2002年6月: 特別仕様車「S Wiseセレクション」発売。
2003年1月: オープンデッキ生産終了、特別仕様車「オープンデッキ オーシャンズバージョン」発売。
2003年4月: マイナーチェンジ。バンパー大型化、デザイン変更など。北米市場向けに「サイオンxB」として輸出開始。
2003年8月: 特別仕様車「Z HIDセレクション」発売。
2004年2月: 排出ガス規制強化に対応。
2004年4月: 価格改定。
2004年4月: 特別仕様車「Z X Version・煌 NEO Edition」発売。
2004年9月: 特別仕様車「S W Version・マジョーラII」「Z X Version・マジョーラII」発売。
2005年7月: 特別仕様車「S W Version・HIDセレクションII」「Z HIDセレクションII」発売。

2代目bB (QNC2#型): 音楽を奏でるトールワゴン

2005年から2016年まで販売された2代目bBは、初代とは異なるアプローチで開発されました。コスト削減と最小回転半径の縮小を目的に、パッソのプラットフォームを採用。しかし、ホイールベースを延長することで居住性を向上させ、1.5Lエンジンも設定するなど、パッソよりも上質な走りと空間を提供しました。エクステリアデザインは、初代の箱型デザインから、より流麗で個性的なフォルムへと進化。先進性と遊び心を融合したデザインは、多くの若者から支持されました。

2代目bBの大きな特徴は、音楽へのこだわりです。「クルマ型MUSIC PLAYER」をコンセプトに、高音質オーディオシステムを搭載したグレードも設定。コンパクトカーとしては異例ともいえる9スピーカーシステムは、ドライバーに上質な音楽体験を提供しました。また、「マッタリモード機能付フロントシート」など、リラックスできる工夫も凝らされています。ダイハツ工業が生産を行い、ダイハツブランドでは「クー」として、スバルブランドでは「デックス」としてOEM供給されました。

2代目bBの主な改良点と特別仕様車

2006年5月: 新グレード「S Q Version」を追加。
2007年1月: 特別仕様車「S Garnet edition」発売。
2007年8月: 一部改良。「S Garnet edition II」発売。
2008年10月: マイナーチェンジ。デザイン変更、新グレード追加。
2009年8月: 特別仕様車「S HIDセレクション」発売。
2010年7月: 一部改良。
2011年11月: 一部改良、新パッケージ「煌」追加。
2013年2月: 一部改良、新パッケージ「煌-G」追加。
* 2014年8月: 一部改良。安全装備強化、デザイン変更。4WD仕様廃止。

車名の由来とプロモーション

「bB」という車名は「ブラックボックス」の頭文字に由来します。小文字と大文字の組み合わせは、車体が黒くないことと、子供も大人も楽しめることを意味しています。CMでは、Wiggleや布袋寅泰、RIP SLYME|RIP_SLYME、米米CLUBなど、多くの著名アーティストの楽曲が使用され、話題を呼びました。また、漫画『TOUGH』とのコラボレーションも実施されました。

まとめ

bBは、個性的なデザインと高いカスタマイズ性、そして音楽へのこだわりを融合させた、トヨタを代表するコンパクトカーでした。初代と2代目で異なる魅力を持つbBは、多くのユーザーに愛され、長く販売されたロングセラーモデルとして、自動車史にその名を刻んでいます。 後継車種としてトヨタタンクが発売されています。

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