トロンプ級フリゲート

トロンプ級フリゲート

トロンプ級フリゲートは、オランダ海軍によって運用されていた艦級であり、実際にはミサイル駆逐艦としての役割を持っていました。この艦級は、1966年にオランダ海軍がデ・ロイテル級巡洋艦の後継艦として2隻の誘導ミサイル・フリゲートを建造する計画から生まれました。建造は1971年にロイヤル・シェルデ造船所で開始され、次世代艦船としての地位を確立しました。

設計と構造

トロンプ級の設計はL/B比9.3という優れた幅広の船体に基づいており、フィンスタビライザーを備えることで卓越した航洋性を実現しています。船体と艦橋は鋼で構成されていますが、後方上部構造物にはアルミニウム合金が使用されています。この艦級では、標準的な蒸気タービン主機を搭載する計画がありましたが、人員削減の要求を受けて、オランダ海軍で初めてガスタービンエンジンが搭載されることとなりました。

主機関の構成は、イギリス海軍の21型フリゲートを参考にし、巡航用にロールス・ロイスのタインRM1C、そして高速用にはロールス・ロイスのオリンパスTM3Bを使用したCOGOG方式を採用しています。推進装置は5翔式の可変ピッチプロペラが装備され、電源は450ボルト、60ヘルツの三相交流で、出力1,000kWの発電機が4基搭載されています。

艦内の機関部は3区画に分かれ、第1機械室にはオリンパスと発電機が設置され、第2機械室にはタインが収められています。

装備と武器

トロンプ級フリゲートは防空艦として設計されたため、重要なセンサーとなる3次元レーダーには、国産のSPS-01レーダーが搭載されています。これはSバンドの多機能レーダーであり、5基のアンテナを組み合わせた独特の構成を持っています。1980年には大型のプラスチック製レドームが追加され、通称「コジャック」と呼ばれるようになりました。

また、SEWACO I戦術情報処理装置も搭載され、これはアメリカのNTDSに準拠しつつ、国内技術として独自に発展しました。1984年から1985年にかけての改修でリンク11の運用能力が追加され、1988年から1989年の改修でSCOT衛星通信装置も搭載されました。

防空武器システムには当初イギリス製のシーダートが計画されましたが、最終的にはアメリカ製のターター・システムが選定され、個艦防空のためにシースパローIBPDMSも搭載されました。主砲にはボフォース社製の120mm連装砲が改修のうえで搭載され、さらにゴールキーパー30mmCIWSやデコイ発射機も装備されました。

配備と運用

1974年度の艦隊整備計画では、トロンプ級フリゲート2隻が3個の対潜任務群のうち2個の旗艦として指定されることが決定されました。これにより、艦隊の防空能力が大いに向上しました。トロンプ級はその性能を活かし、数々の任務を遂行し、オランダ海軍における重要な存在となっていました。

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