ドコモUIMカード

ドコモUIMカードとは

ドコモUIMカードは、NTTドコモの第3世代移動通信システム「FOMA」および第3.9世代移動通信システム「Xi」で利用されるSIMカードの一種です。以前は「FOMAカード」と呼ばれていましたが、技術の進化と共に名称と機能がアップデートされました。このカードには、電話番号情報が記録されており、電話帳、ショートメッセージ(SMS)、ユーザー証明書(FirstPass)などのデータも保存できます。

ドコモUIMカードの利点

最大の利点は、UIMカードを別の携帯電話機に差し替えるだけで、自分の電話番号をそのまま利用できる点です。これにより、従来の機種変更のようにショップで手続きをする必要がなく、自分で新しい機種を購入してカードを差し替えるだけで済みます。また、古い機種も保管しておけば、必要に応じて使い分けることも可能です。

この仕組みにより、ドコモでは「機種変更」という手続きは存在せず、新機種への切り替えは「端末買増」と表現されます。ただし、ユーザーには分かりづらいため、一部ショップでは「機種変更」とアナウンスすることもあります。

中古端末や譲り受けた端末でも、基本的にはUIMカードを差し替えるだけで利用できますが、カードのICチップの位置によっては使用できない場合があります。これは、旧ロゴのUIMカードではチップ位置が中心からずれているため、新しい機種の電極位置と合わないことが原因です。

海外でのローミング利用も、対応機種にUIMカードを差し替えることで可能です。これをチップローミング、またはプラスチックローミングと呼びます。

コンテンツの利用制限と再発行

特定の機種（N2102V, F2102V, 900iシリーズ以降）では、ダウンロードしたコンテンツが、ダウンロード時と異なるUIMカードでは利用できないようにロックされています。また、P901iTV以外の機種では、FOMAカードが抜かれた状態ではワンセグを起動できない仕様でしたが、2008年冬以降の機種ではこの制限は解除されました。

UIMカードを紛失・破損した場合、再発行すると過去にダウンロードしたコンテンツは利用できなくなります。ただし、経年劣化や自然故障による交換の場合は、ドコモショップでカードの固有情報を移行することでコンテンツを引き続き利用可能です。自然故障とみなされる場合は再発行手数料はかかりません。

公式サイト上のコンテンツは再発行後も利用できますが、公式サイト外のSNSサイトなどでは、UIMカードの製造番号によるユーザー認証ができない場合があります。

無線書き込み（OTA）とカードの種類

バージョン3（白色）からは、電話番号の書き込みがOTA（Over The Air）による無線書き込みが可能になりました。ただし、ドコモショップなどではUIMカードライターを使用して電話番号を書き込みます。OTA専用バージョンは、パッケージにOTA表示があり、カード台紙裏面には電話番号と開通期限が表示されます。

日本通信がドコモ回線を利用したMVNOサービスを開始した際には、microSIM形状の『mini FOMA カード AX03m』が提供されました。その後、Xiサービス開始とともに、ドコモUIMカードが提供され、microSIM形状の『ドコモminiUIMカード』とnanoSIM形状の『ドコモnanoUIMカード』が登場しました。

SIMカードの形状変更に伴うカード発行手数料は値下げされましたが、従来の1年に1回の無料制度は廃止されました。

MVNO向けUIMカード

2015年12月からは、MVNOサービス向けに『DoCoMo』のロゴがない無地白色のUIMカードが登場しました。これはバージョン5に準拠していますが、カードにはドコモのロゴが一切ありません。

2016年5月には、バージョン5のマイナーチェンジ版である<A>版が登場し、登録作業がタブレット式に変更され、無線書き込みが開始されました。

2017年5月には、eSIMがコンシューマ機種に初めて提供されました。

2021年3月には、ahamoブランド向けに『ahamoUIMカード』が提供開始されました。

製造元と製造番号

ドコモUIMカードは、大日本印刷、日本ジェムプラス、ジェムアルト、ギーゼッケアンドデブリエント、東芝などが製造しています。

各社で製造番号の先頭2桁が異なり、金属端子の形状にも違いがあります。ドコモのUIMカードには19桁のICCIDの記載がなく、代わりに2桁の英字と13桁の数字からなる15桁の製造番号が記載されています。しかし、実際にはICCIDも付与されており、一定の法則に基づいて製造番号から算出されます。

カードのバージョン

ドコモの公式Webサイトでは、カードのバージョンを『Ver.〇』と表記しています。

FOMAカード
青色カード（Ver.1）: 初期のFOMAカード。一部の端末では利用不可。
緑色カード（Ver.2）: PDCデュアルモード、FirstPass、アウトローミングに対応。パッケージサイズが変更。
白色カード（Ver.3）: OTAに対応。旧ロゴと新ロゴのものが混在。microSIM形状の『mini FOMA カード AX03m』も提供。
ドコモUIMカード
赤色カード（Ver.4）: Xi、5Gに対応。FOMA単独端末でも利用可能。microSIM、nanoSIMも用意。
ピンク色カード（Ver.5）: NFC（FeliCa）対応。TypeA/B方式サービスに対応。
無地白色カード（Ver.5<A>）: MVNO向け。ドコモロゴなし。従来の製造番号と異なる(V)が付与。
ピンク色カード<A>版（Ver.5<A>）: ドコモ純正回線とMVNO回線で統一化。タブレット方式での登録と無線書き込みに対応。パッケージに<A>が付与。
水色カード（Ver.6）: 紙製パッケージが廃止。nanoSIMの金属端子面が着色。東芝による供給が終了。
無地白色カード（Ver.6）: MVNO向け。ドコモロゴなし。マルチカットに対応したカードが登場。
グリーンカード（Ver.7）新サービスに対応。
ahamoUIMカード
青/白色カード（Ver.1）: ahamoブランド向け。ドコモUIMカードとして登録。nanoサイズのみ。
eSIMカード
ネイビー/ブルー色カード（Ver.1）: コンシューマ機種に初めて採用されたeSIM。ネットワーク経由で情報を書き込み利用。

利用できないサービス・端末

以前のFOMAカードでは、一部のサービスや端末が利用できない場合があります。ドコモショップで無償交換が可能です。

国際ローミングサービス(WORLD WING)：緑色カード以降が必要
一部の端末：緑色カード以降が必要
Xi対応端末：赤色カード以降が必要
NFC(FeliCa)対応端末でのTypeA/Bサービス：ピンク色カード以降が必要
* 5G SAサービス：AndroidはVer.6以降、iPhone/iPadはVer.7以降が必要

FOMAカード不正通話事件

2006年11月、解約済みのFOMAカードが不正利用され、海外で通話が行われる事件が発生しました。これは、相互接続契約を結んでいた海外の電話会社が、認証に必要な情報を一部しか確認していなかったことが原因です。ドコモはその後、システムを改修し、解約済みのカードのIMUIは再利用しない方針に変更しました。

クローン携帯について

「クローン携帯」の製作は技術的に可能ですが、現実的には不可能というのがドコモの見解です。今回の事件は、ユーザー側によってIMUIが偽造されたものではありません。

まとめ

ドコモUIMカードは、携帯電話の進化と共に様々な変遷を遂げてきました。この記事が、ドコモのサービスをより深く理解し、安全に利用するための一助となれば幸いです。

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