ナイトゴーント

ナイトゴーント：ドリームランドの闇を支配する翼ある影

クトゥルフ神話において、ナイトゴーントはドリームランドに生息する恐ろしい生物として知られています。日本語では「夜鬼」や「夜の魍魎」と訳されることもありますが、その姿は西洋の悪魔を思わせる、異様なものです。ゴムのような質感の黒い皮膚、のっぺらぼうの顔、コウモリのような翼、そして長い尻尾という、見る者に強い恐怖を与える外見をしています。

ラヴクラフトによるナイトゴーント

ナイトゴーントは、H.P.ラヴクラフトが自身の幼少期の悪夢を元に創作したとされています。彼の作品『未知なるカダスを夢に求めて』で初登場を果たし、その後も幾つかの作品に登場します。ラヴクラフトの設定では、ナイトゴーントはノーデンスという存在の配下として、聖地ングラネク山を徘徊しています。人間を見つけると群れで襲いかかり、空中へと持ち上げ、尻尾でくすぐるという、奇怪な行動をとります。抵抗する人間は、ナスの谷へと連れ去られ、深淵に突き落とされるという、凄惨な運命を辿ることになります。

興味深いのは、ナイトゴーントと他のクトゥルフ神話の存在との関係性です。ノーデンスと対立するナイアーラトテップ配下のシャンタク鳥にとって、ナイトゴーントは天敵として恐れられています。一方で、グールという別の存在とは協力関係にあるとされています。ラヴクラフトの後継者であるダーレスは、クトゥルフ神話の解説においてしばしばナイトゴーントの名を挙げますが、彼自身はナイトゴーントを題材とした作品を創作していません。

派生設定におけるナイトゴーント

ラヴクラフト以降、様々な作家がクトゥルフ神話を独自に解釈・拡張しており、ナイトゴーントも例外ではありません。リン・カーターとブライアン・ラムレイは、ナイアーラトテップとイブ＝ツトゥルをナイトゴーントの支配者として設定しています。これはラヴクラフトのオリジナル設定とは異なる解釈ですが、ナイトゴーントとこれらの強力な存在との関連性を示唆する、興味深い試みと言えます。日本の邪神伝説シリーズも、ナイアーラトテップとナイトゴーントの関係性に焦点を当てた作品として知られています。

さらに、イェグ＝ハという、ナイアーラトテップ配下のレッサー・オールド・ワンがナイトゴーントを率いるという設定も存在します。イブ＝ツトゥルもまた、ナイトゴーントを従える存在として描かれることがあり、ナイアーラトテップの息子であるという設定も存在します。ラムレイのドリームランドシリーズでは、ナイトゴーントは目覚めの世界の古代ティームドラ大陸に起源を持つ生物であり、ティームドラの住人が夢見人になった際にドリームランドへと持ち込まれたという、独自の解釈が提示されています。一部の作品では、ナイトゴーントを使い魔として操る人物も登場します。

ナイトゴーントが登場する作品

ナイトゴーントは、ラヴクラフトの作品『未知なるカダスを夢に求めて』や『ユゴスの黴』に登場する他、ブライアン・ラムレイの『幻夢の時計』『幻夢の英雄』など、多くのクトゥルフ神話関連作品でその名を目にすることができます。これらの作品を通して、ナイトゴーントはドリームランドの象徴的な存在として、読者の想像力を掻き立て、恐怖を呼び起こし続けています。

まとめ

ナイトゴーントは、その奇怪な姿と、他の神話生物との複雑な関係性を通して、クトゥルフ神話の世界に深淵なる闇をもたらす存在です。ラヴクラフトによるオリジナルの設定から、後の作家による様々な解釈まで、その存在感は衰えることなく、クトゥルフ神話において重要な役割を果たし続けています。ドリームランドの謎を解き明かす鍵となる存在として、ナイトゴーントは今後も多くの読者や作家を魅了し続けることでしょう。

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