ニキタ・コロフ

ニキタ・コロフ：プロレス界の巨人

ニキタ・コロフ（本名：ネルソン・スコット・シンプソン）は、アメリカ合衆国の元プロレスラーであり、その特異なキャラクターと力強いパフォーマンスで知られています。1959年3月9日にミネソタ州ミネアポリスに生まれ、ロシア人ギミックの「ロシアンナイトメア」として1980年代後半にプロレス界に名を馳せました。コロフの出身地は実際にはミネソタ州ですが、ギミック上はロシアのモスクワとされています。彼の全盛期は、主にNWAミッドアトランティック地区での活動が中心でした。

初期のキャリアとNWAでの台頭

コロフは学生時代にアメリカンフットボールで活躍し、USFLのトライアウトを受けるなどスポーツに情熱を注いでいました。しかし、友人であり、プロレスラーであるロード・ウォリアー・アニマルの勧めにより、プロレスの道に進むことを決意しました。1984年、NWAジョージア地区でデビューするも、彼の名を広めたのは1984年に投入されたNWAミッドアトランティック地区でした。この地域のプロモーションで、イワン・コロフの「甥」としての役回りで強大なヒールキャラクターを確立し、筋肉質な体格を活かした力強いファイトスタイルで注目を集めました。

1985年から1986年にかけては、クラッシャー・クルスチェフとともに「ザ・ラシアンズ」と呼ばれるロシア人ユニットの中心メンバーとして活動し、ロード・ウォリアーズやロックンロール・エクスプレスとのタイトル争いに挑むなど活躍しました。1986年にはグレート・アメリカン・バッシュでリック・フレアーのNWA世界ヘビー級王座に挑戦し、プロレス界のトップ選手と肩を並べる存在となりました。

ヒールからベビーフェイスへの転向

コロフは、その悪役としての人気が高まりすぎたため、1986年10月にベビーフェイスとして転向することとなります。ダスティ・ローデスの新しいパートナーとして活動を開始し、スーパーパワーズとして名を馳せました。この新しいチームは旧敵のロード・ウォリアーズとの共闘や、フォー・ホースメンとの抗争を通じて盛り上がりを見せました。1987年にはCrockett Cupで優勝を果たし、彼の名声はますます高まりました。

劇的なキャリアの転機と引退

1988年には、健康問題などが影響し戦線を離脱することとなり、同年に妻がホジキンリンパ腫で闘病を続ける中、ニキタはフルタイムでのプロレス活動を休止し、1990年代には地元のAWAに参加しました。1991年にヒールとしてWCWに復帰し、再度活躍を見せるも、1993年には新生キリスト教徒として精神的な変化を経たことから、現役を引退すると宣言します。その後は宣教師として活動を続け、リングからは一旦離れました。

2003年に覆面レスラーのミスター・レスリング4号として短期間復帰し、盟友ダスティ・ローデスとの関係を再び築くなど、彼のキャリアは多様性に富んでいました。引退後も彼はNWA殿堂に迎えられるなど、プロレス界からの評価は揺るがないものです。

主な技と獲得タイトル

コロフのリング上での特徴的な技としては、ロシアン・シックルやロシアン・レッグ・スウィープ、バックブリーカーなどがあります。彼はNWA USヘビー級王座やNWA世界タッグ王座など、数多くのタイトルを獲得し、名実ともにプロレス界の巨人としての地位を確立しました。

ニキタ・コロフのキャリアは、FWWF（今のWWE）との関係はあったものの、参戦は実現しなかった点においてもプロレスの歴史の中で特異な位置を占めています。現在も彼の名は多くのファンに愛されており、その業績は衰えることなく記憶され続けています。

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