ロックンロール・エクスプレス

ザ・ロックンロール・エクスプレス：80年代プロレス界を彩った伝説のタッグチーム

ザ・ロックンロール・エクスプレスは、リッキー・モートンとロバート・ギブソンによって結成されたプロレスラーのタッグチームです。1980年代、その華麗な空中技と息の合った連携プレーで、多くのファンを魅了しました。特にティーンエイジャーの女性から絶大な人気を獲得し、アイドル的な存在としてプロレス界を席巻しました。

彼らの活躍は、後進のタッグチームにも大きな影響を与えました。ショーン・マイケルズとマーティ・ジャネッティによるザ・ロッカーズをはじめ、多くのタッグチームが彼らのスタイルを参考に、独自の個性と技を磨いていきました。

メンバー

チームを構成するリッキー・モートンとロバート・ギブソンは、体格は小柄でしたが、その機動力を活かした軽快な動きと、鮮やかな空中技を得意としていました。大型のタッグチーム相手にも臆することなく、互いに協力し合い、数々の白熱した試合を展開しました。

モートンとギブソンは、1970年代後半からプロレスラーとして活躍していました。1981年には、すでにタッグチームとしてCWA世界タッグ王座を獲得するなど、高い実力を持っていました。しかし、ザ・ロックンロール・エクスプレスとしての活動が、彼らのキャリアにおける大きな転換期となりました。

輝かしいキャリア：CWAからジム・クロケット・プロモーションズへ

1983年、テネシー州メンフィスのCWAにおいて、ザ・ロックンロール・エクスプレスは結成されました。CWAブッカーのジェリー・ローラーの発案によるもので、当時人気を博していたファビュラス・ワンズに続く、新たなアイドル系タッグチームとして期待されました。

チーム名は、メンバーのイニシャル「R&R」と「ロックンロール」を掛け合わせたもので、グラムメタル風の衣装と、スピード感あふれる試合スタイルを特徴としていました。CWAでは、ランディ・サベージ＆ラニー・ポッフォ組、ブルーズ・ブラザーズ、ザ・グラップラーズなど、多くの強豪タッグチームと激闘を繰り広げ、AWA南部タッグ王座を2度獲得しました。

1984年にはMSWAに移籍。ミッドナイト・エクスプレスとの抗争は、大きな人気を呼びました。テッド・デビアス、スティーブ・ウィリアムス、ヘラクレス・ヘルナンデスの大型ユニットとも対戦し、ミッドサウス・タッグ王座を争いました。

1985年下期、ジム・クロケット・プロモーションズに移籍すると、デビュー戦でNWA世界タッグ王座を獲得するという快挙を達成しました。ロード・ウォリアーズと共にベビーフェイス陣営の主力として活躍し、男性ファンを魅了したロード・ウォリアーズと異なり、ザ・ロックンロール・エクスプレスは女性や子供たちから絶大な支持を受けました。

『スターケード』には3年連続で出場。ザ・ラシアンズ、ミネソタ・レッキング・クルー、そして宿敵ミッドナイト・エクスプレスと激闘を繰り広げました。リック・フレアー率いるフォー・ホースメンとも抗争し、フレアーのNWA世界ヘビー級王座に挑戦しました。

1987年には「Crockett Cup」でジャイアント馬場＆高木功組と対戦し、翌年には全日本プロレスに初来日を果たしました。

フリーランス時代からWWF、そしてWWE殿堂入りへ

1988年にジム・クロケット・プロモーションズを離脱後、フリーランスとしてAWA、WWAなどで活躍。ナスティ・ボーイズ、バッド・カンパニー、ブリティッシュ・ブルドッグスなど、多くの強豪と対戦しました。

1990年にはWCWに登場しましたが、台頭する新しいベビーフェイスチームの前に、ミッドカードに降格しました。ギブソンが戦線を離脱し、モートンは新コンビを組むも、1991年にヒールに転向します。

その後、SMW、USWAなどで活躍。SMWタッグ王座を10回獲得するなど、高い人気を維持しました。1993年にはWWFのサバイバー・シリーズにゲスト出場し、1996年にはFMWに来日しました。

1996年にはWCWに復帰しましたが、ジョバーとして扱われ、1998年にはWWFに登場。ジェフ・ジャレットやバリー・ウインダムとヒールユニットを結成しましたが、このアングルは不発に終わりました。フェイスターンしますが、観客の反応は鈍く、5月いっぱいでWWFを離脱しました。

2000年代に入ると、ザ・ロックンロール・エクスプレスは再結成。TNA、各地のインディー団体などで活躍しました。2005年には「WrestleReunion」でミッドナイト・エクスプレスと対戦し、2008年には「NWA Anniversary Show」で1980年代の黄金カードが再現されました。

2010年代も精力的に活動し、2010年にはMACWタッグ王座を獲得。2017年にはWWE殿堂入りを果たしました。

合体技と獲得タイトル

ザ・ロックンロール・エクスプレスは、ダブルドロップキック、ダブルバックエルボー、ドロップトーホールド＋エルボー・ドロップなど、数々の合体技を駆使しました。

AWA南部タッグ王座、ミッドサウス・タッグ王座、NWA世界タッグ王座、SMWタッグ王座、USWA世界タッグ王座など、数々のタイトルを獲得しました。

彼らの功績は、プロレス史に永遠に刻まれるでしょう。

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