ニューヨーク級戦艦

ニューヨーク級戦艦：アメリカ海軍初の超弩級戦艦

ニューヨーク級戦艦は、アメリカ海軍が最初に保有した超弩級戦艦であり、同級の2隻、ニューヨーク（BB-34）とテキサス（BB-35）が建造されました。この艦級は、ワイオミング級戦艦の拡大改良型として設計され、アメリカ海軍の戦艦設計における重要な転換点となりました。

概要

アメリカ海軍は、年間2隻の戦艦を増強する方針のもと、ニューヨーク級戦艦の開発を進めました。1909年に設計がまとまり、1910年度の海軍計画で2隻の建造が承認されました。ワイオミング級が12インチ砲を12門搭載していたのに対し、ニューヨーク級では新開発の14インチ砲を10門搭載。これは、アメリカ海軍が初めて14インチ砲を採用した艦級であり、その後の戦艦設計に大きな影響を与えました。ただし、機関は経済的な観点からレシプロエンジンを採用し、2軸推進となっています。

特筆すべき点として、ネームシップであるニューヨークよりもテキサスが先行して建造されたため、海外の資料では「テキサス級戦艦」と表記されることもあります。

艦形

ニューヨーク級の船体は平甲板型で、全長は174.7mとワイオミング級よりも約3m長くなりました。主砲塔の配置は、ワイオミング級と同じ6基配置では艦が大型化し高価になるため、14インチ砲を10門搭載する構成に変更されました。

艦の前方から見ると、まず新設計の14インチ砲を収めた連装砲塔が2基、背負い式に配置されています。2番砲塔の後方には操舵艦橋と籠状の前部マストがあり、艦載艇は2本の煙突の側面に配置され、クレーンで運用されました。後部には籠状の後部マストが立ち、その後方には3基の主砲塔が配置されています。副砲は12.7cm速射砲がケースメイト配置で、艦橋側面、1番主砲塔側面、船体中央部、艦尾側に配置されました。

武装

主砲

ニューヨーク級の主砲は、1910年型Mk.12 35.6cm（45口径）砲で、連装砲塔に搭載されました。この砲は、最大射程21,030mを誇り、射程18,290mで170mmの装甲を貫通する能力がありました。砲塔は左右独立して砲身が上下できる形式で、装填機構は安全性向上のため仰角0度固定角度装填式を採用しました。旋回角度は左右150度、俯仰能力は仰角15度・俯角5度です。

副砲等

副砲は12.7cm（51口径）速射砲で、片舷8基ずつ計16基がケースメイト配置で搭載されました。射程は13,720mで、旋回角度は100度でした。また、対艦用に53.3cm魚雷発射管も4門装備されました。

就役後の1918年に対空火器として7.6cm高角砲が追加され、1920年代には艦首の副砲の一部が撤去されました。

機関

ニューヨーク級の機関は、バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶14基とレシプロ機関2基を組み合わせた2軸推進でした。前級のタービン機関の燃費問題から、低速燃費の良いレシプロ機関が採用されました。

近代化改装

1925年から1927年にかけて、ノーフォーク海軍工廠で近代化改装が行われました。ボイラーは重油専焼缶に換装され、煙突が1本に減少しました。魚雷防御隔壁とバルジが追加され、水平防御も強化されました。マストは三脚型に更新され、射撃指揮所も新設されました。艦橋は密閉型となり、カタパルトが設置されました。副砲の一部は移設され、対空火器も増強されました。

艦歴

第一次世界大戦

ニューヨーク級は、竣工後大西洋艦隊に配属され、第一次世界大戦では遣英派遣艦隊に編入されました。主に船団護衛任務に従事しましたが、敵艦隊との交戦機会はありませんでした。ニューヨークはドイツ海軍のUボートを撃沈する戦果を上げましたが、これは遣英艦隊全体の唯一の戦果でした。

海軍休日と第二次世界大戦

改装後の1937年には、ニューヨークがジョージ6世戴冠記念観艦式に参加しました。1938年には、アメリカ戦艦として初めて艦載レーダーを設置しました。

第二次世界大戦が勃発すると、ニューヨーク級は現役に復帰し、対空火器の増設とレーダーの搭載が行われました。大西洋と太平洋の両戦線で対地砲撃や船団護衛任務に従事し、北アフリカ上陸作戦、ノルマンディー上陸作戦、硫黄島攻防戦、沖縄戦などにも参加しました。

終戦後、ニューヨークはクロスロード作戦の標的艦となり、その後沈没処分となりました。一方、テキサスは記念艦として保存されています。

要目

竣工時

全長: 174.7m
全幅: 29.6m
吃水: 7.9m
常備排水量: 28,500トン
兵装: 35.6cm連装砲5基、12.7cm単装砲21基、53.3cm水中魚雷発射管4基
機関: バブコックス&ウィルコックス式重油石炭混焼缶14基、レシプロ2基2軸推進
最大出力: 27,100hp
最大速力: 21ノット

最終時

全長: 174.7m
全幅: 32.4m
吃水: 7.9m
基準排水量: 27,400トン
常備排水量: 31,400トン
兵装: 35.6cm連装砲5基、12.7cm単装砲6基、7.6cm単装高角砲10基、40mm四連装高角機関砲10基、20mm連装機関砲1基、同単装機関砲44基、53.3cm水中魚雷発射管4基
機関: B・エクスプレス式重油専焼缶6基、レシプロ2基2軸推進
最大出力: 28,100hp
* 最大速力: 19.7ノット

まとめ

ニューヨーク級戦艦は、アメリカ海軍の戦艦設計における重要な一歩であり、その後の戦艦開発に大きな影響を与えました。第一次世界大戦、第二次世界大戦の両方で活躍し、その歴史と技術的特徴は今日においても興味深い対象です。

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