ネパールの仏教

ネパールの仏教の歴史と現代

ネパールは、仏教の開祖である釈迦の故郷であるルンビニを有し、仏教の興隆における重要な地域として知られています。ここでは、ネパールの仏教の歴史とその現代的な展開について詳しく見ていきたいと思います。

古代と中世の仏教

仏教がネパールに根付いたのは、釈迦の生誕地とされるルンビニが今日のネパール領に位置することから始まります。古代のマウリヤ朝のアショーカ王は、釈迦の足跡を残すために石柱を建て、これが近代に至ってルンビニの再発見へとつながります。さらに、インドのグプタ朝が栄えた5世紀以降、リッチャヴィ朝により仏教とヒンドゥー教が共存する土壌が形成されました。

7世紀には、王朝の支配者アンシュ・ヴァルマーが、チベットの王ソンツェン・ガンポに娘を送り込み、これがチベットに仏教を広める重要な要因となりました。特に吐蕃におけるトゥルナン寺の建立は、後にチベット仏教の基盤を築くこととなります。

ネパール仏教の形成

チベット仏教が流入する一方、インドからの後期密教も浸透していきました。ネパールの社会にはヒンドゥー教やカーストの影響が強く、これにより仏教はグバジュと呼ばれる特権階級を形成しつつ、独自の進化を遂げました。11世紀にはアティーシャがネパールに滞在し、密教の伝播の一翼を担ったとも言われており、この時代が仏教の発展に大いに寄与したようです。

しかし、13世紀にはイスラム勢力の侵攻がインドの仏教を滅ぼしました。そんな中、ネパールの仏教はサンスクリット経典を継承する唯一の存在としての地位を確立しました。1820年に英国の外交官B. H. ホジソンによってその存在が広まり、1881年にはRājendralāla Mitraの著書によって、ネパールがサンスクリット経典の蒐集拠点として注目されるようになりました。

現代の宗派

現代のネパールにおいては、複数の仏教宗派が共存しています。その中心にあるのは、カトマンズ渓谷において伝統的に信仰されるネワール仏教です。さらに、近世以降にチベットから流入したチベット仏教や、最近増えてきた上座部仏教も重要です。これらの宗派はそれぞれ独自の特色を持ち、伝統と現代の融合が見られます。

ネパールの仏教は、その歴史的背景、文化的影響、宗派の多様性を通じて、深い意味合いを持った宗教であり続けています。日本の河口慧海などの研究者が、その重要性を国際的に認知させる役割を果たしたことも見逃せません。

まとめ

仏教における重要な拠点としてのネパールは、古代から現代に至るまで歴史的にも文化的にも豊かな背景を持っています。ここでは、仏教がどのように進化し、現代においてどのように位置付けられているのかを探求することが大切です。

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