ノルウェー狂詩曲 (ラロ)

エドゥアール・ラロの「ノルウェー狂詩曲」（フランス語: Rapsodie norvégienne）は、1879年に完成された管弦楽作品です。演奏時間は約12分で、ラロの異国趣味を示す代表的な一曲として知られています。

作曲背景

この作品は、作曲家が前年の1878年に手掛けたヴァイオリン独奏と管弦楽のための「ノルウェー幻想曲」がもとになっています。ラロは、以前に大きな成功を収めた「スペイン交響曲」と同様に、この「ノルウェー幻想曲」でも異国情緒あふれる響きを追求しました。スペインから北欧のノルウェーへと関心の対象は移りましたが、幻想曲は同年にパリで名ヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテによって演奏され、聴衆から好評を得ました。

「ノルウェー幻想曲」の初演後、ラロはこの協奏的な作品を純粋な管弦楽曲へと改作することを考え、全2楽章からなる狂詩曲として完成させました。楽譜は1880年にベルリンで刊行されましたが、その際は「管弦楽のための狂詩曲」（フランス語: Rapsodie pour Orchestre）という名称でした。しかし、原曲である幻想曲との関連性から、現在では一般に「ノルウェー狂詩曲」という名前で広く認識されています。この楽譜は、フランスの著名な指揮者、エドゥアール・コロンヌに献呈されました。なお、この作品には公式な作品番号は与えられていません。

初演と録音

作品の初演は、完成から間もない1879年4月20日にパリで行われました。記録に残る最初の商業録音は、初演から半世紀以上を経た1933年に、アルベール・ヴォルフ指揮、コンセール・ラムルーの演奏によって実現しました。

楽器編成

この狂詩曲は、標準的な二管編成に加えて、いくつかの特殊な楽器や増強されたパートを含みます。
使用される楽器は以下の通りです。

ピッコロ1
フルート2
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
ホルン4
トランペット4
トロンボーン3
チューバ1
ティンパニ
トライアングル
タンブリン
バスドラム
ハープ
弦五部（ヴァイオリン2パート、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

トランペットが4本用いられる点などが特徴的です。

楽曲構成

作品は切れ目なく演奏される2つの楽章で構成されています。

第1楽章：Andantino

この楽章は主に6/8拍子で書かれていますが、途中で拍子が変化します。冒頭、管弦楽全体による力強い2つの和音が鳴り響きます。その後、オーボエが素朴でどこか田舎風な雰囲気を持つ主題Aを提示します。すぐに拍子は3/4に変わり、弦楽器群が細かく動き回る、より感情的な主題Bを展開させます。これらの主題はその後、オーボエによるA、弦楽器によるB、再びオーボエによるAという順で交互に現れます。

次に拍子が2/4へと変化すると、クラリネット、そして続いて弦楽器に、ノルウェーの民謡から採られたと思われる軽快な主題Cが登場し、これが展開されます。さらに、この主題を変形させた、より力強い主題Dがチェロによって提示され、展開が続きます。再び主題Cが現れた後、最後にもう一度オーボエによって冒頭の主題Aが静かに回想されます。そして弦楽器のピッツィカートに続いて、軽妙な雰囲気のうちに楽章を終えます。

第2楽章：Presto

この楽章は3/4拍子で、ロンド形式の構造をとっています。開始と同時にトランペットが精力的な舞曲調の主題aを奏でます。次に、ホルンと弦楽器が少し哀愁を帯びた主題bを提示し、ラロが好んで用いる金管楽器の三連符のパッセージで締めくくられます。再びトランペットに主題aが登場します。続いてフルートとピッコロが、こちらも三連符を多く含む活発な主題cを演奏し、弦楽器がリズミカルにこれを展開します。

その後に弦楽器によって叙情的な主題dが現れ、音楽は一時的に静まります。静寂の後、再び主題a、そしてbが繰り返されます。最後に、もう一度主題aが力強く奏され、作品全体を締めくくります。
楽章全体の構造は、おおよそ a-b-a-c-d-a-b-a というロンド形式のパターンに沿っています。

参考文献

Hoflich社 Study Score 104
属啓成「名曲事典」（1991年第16刷発行 音楽之友社）ISBN 427600120X

外部リンク

Lalo Rapsodie norvégienneの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

もう一度検索