ハイペリオン (競走馬)

ハイペリオン：伝説の名馬とその血統

ハイペリオンは、イギリスが生んだ伝説的な競走馬にして、類まれな成功を収めた種牡馬です。1933年、ダービーステークスとセントレジャーステークスというイギリスクラシック二冠を制覇。さらに種牡馬として6度もイギリスのリーディングサイアーに輝き、その血統は現代競馬にも大きな影響を与え続けています。

競走馬としての華麗なるキャリア

1933年4月18日、第17代ダービー伯爵のウッドランド牧場で誕生したハイペリオンは、1歳からジョージ・ラムトンの厩舎で調教を受けました。当初は小柄で動きが緩慢だったため、調教を断念されそうになるも、ラムトンは見抜いた才能を見抜き、調教を継続。

1932年のデビューは4着に終わりましたが、その後は持ち前の能力を開花させ、5戦3勝とまずまずの成績でシーズンを終えます。しかし、真価を発揮したのは翌1933年。調整の遅れから2000ギニーへの出走は回避しましたが、チェスターヴァーズを勝利。続くダービーステークスでは、圧倒的な強さでレコードタイムを記録し優勝。2着馬に3馬身差をつける圧勝劇でした。このレースには、後のゴールドカップ優勝馬や、日本で種牡馬として活躍した馬も出走していました。

ダービーに続きプリンスオブウェールズステークスも制覇しましたが、脚部不安を抱え、セントレジャーステークスへの出走は危ぶまれました。しかし、見事に回復し、セントレジャーステークスでも圧勝。イギリスクラシック二冠を達成しました。

1934年にはゴールドカップを目指しましたが、前哨戦を勝ったものの、本番ではライバルに敗れ3着。その後もダリンガムステークスに出走しましたが2着に敗れ、このレースを最後に競走馬を引退。13戦9勝という輝かしい戦績を残しました。

種牡馬としての成功と穏やかな性格

競走馬引退後、ハイペリオンは種牡馬としてウッドランド牧場で活躍しました。その産駒は数々のGI競走を制覇。オーエンテューダー、サンチャリオット、ペンシヴなど、数々の名馬を輩出。1940年から1954年にかけて6度もリーディングサイアーの称号を獲得しました。

驚くべきはその性格。気性難の血統を受け継いでいたにも関わらず、非常に温和で人懐っこい性格だったと伝えられています。しかしながら、自分の気に入らないことがあると頑なに拒否し、動かなくなるという一面もあったようです。

小柄な体格もハイペリオンの特徴でした。体高はわずか14.5ハンド(約147cm)と、当時の競走馬としては非常に小柄でした。にもかかわらず、類まれな競走能力を発揮したことから「イギリスには、互角の馬が競えば常に大柄な方が勝つという格言があったが、ハイペリオンは例外である」と言われるようになりました。

1959年に種牡馬を引退。1960年12月9日、老衰のため亡くなりました。その遺骨は、第17代ダービー伯爵の意思により、南ケンシントン博物館に寄贈されました。

ハイペリオンの血統と影響

ハイペリオンの父は1918年のイギリス戦時クラシック三冠馬ゲインズバラ。母シリーンも優れた競走成績を残した名牝でした。その血統は、数々の名馬を生み出し、現代競馬にも大きな影響を与え続けています。ハイペリオン系と呼ばれる血統は、一時は衰退しましたが、その影響は今もなお競馬界に色濃く残っています。ハイペリオンは、競走馬・種牡馬としてだけでなく、その穏やかな性格や小柄な体格、そして類まれな才能によって、多くの競馬ファンを魅了し続けた、まさに伝説の名馬と言えるでしょう。

主要産駒

オーエンテューダー (Owen Tudor)：ニューダービー、ゴールドカップ優勝馬
ペンシヴ (Pensive)：ケンタッキーダービー、プリークネスステークス優勝馬
サンチャリオット (Sun Chariot)：1000ギニー、オークス、セントレジャーステークス優勝馬
オリオール (Aureole)：キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス優勝馬

ハイペリオンは、その競走成績、種牡馬としての成功、そして穏やかな性格によって、競馬史に不滅の足跡を残した名馬です。

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