ハリハラ1世

ハリハラ1世 - ヴィジャヤナガル王国の創設者

ハリハラ1世（またの名をハリハラ、ハッカ）は、1347年に正式に設立されたヴィジャヤナガル王国の初代君主です。彼の治世は1336年から1356年にわたり、南インドの歴史における重要な時代を代表しています。彼の業績や背景は、当時の政治状況と深く関わっています。

生涯の初期と捕虜の時代

ハリハラと彼の兄弟ブッカは、デカン高原のカーカティーヤ朝の家臣であり、彼らは南インドのホイサラ朝との関係も持っていました。1323年、デリー・スルターン朝が彼らの領土に侵攻し、捕虜となってデリーへ送られます。彼らはこの地でイスラーム教に改宗し、トゥグルク朝の皇帝ムハンマド・ビン・トゥグルクに仕官しました。

この時期、ハリハラとブッカは南インドの統治を任されますが、1334年にタミル地方のマドゥライ・スルターン朝が独立すると、自らも独立を目指すようになります。

ヴィジャヤナガル王国の創立

1336年、ハリハラとブッカはトゥグルク朝に対して独立を宣言し、ヴィジャヤナガルを首都にすることを決定しました。この新しく成立した王朝は、彼らの父親の名にちなみサンガマ朝と呼ばれました。また、彼らはイスラーム教からヒンドゥー教に改宗し、カーストに再加入することを目指しました。しかし、これは法的にも困難なプロセスでした。実際には両者はアウト・カーストとして扱われ、この改宗を巡る問題は、多くの困難を伴いました。

地域のヒンドゥー教の指導者であるヴィディヤーラニヤによって、彼らは再びカーストに認められ、神の代理人とみなされました。このような出来事は、ハリハラの統治の正当性を強化する要因となりました。

宗教と文化の影響

ハリハラの統治時代は、宗教的な復興運動にもつながりました。彼は寺院に多額の寄付をし、宗教指導者たちの支持を得るための戦略を採っていました。彼の治世はヒンドゥー教の revival を象徴するものであったが、決して反ムスリム的ではなく、古い寺院を装飾したり、新しい寺院を建立したりすることに注力しました。

しかし、彼の時代には数々の挑戦も存在しました。1342年にホイサラ朝の王がマドゥライの戦いで敗北すると、ヴィジャヤナガル王国はその領土へ進出し、1346年にはホイサラ朝を滅ぼしました。

対立と国力の拡大

その後、1347年にデカン地方にバフマニー朝が成立し、これがヴィジャヤナガル王国の大きな敵となります。また、アーンドラ地方にはレッディ王国、タミル地方にはマドゥライ・スルターン朝が存在し、ハリハラはさらなる富を確保する必要がありました。

そのため、国庫の資金を増やすため、森林伐採や入植、ダムや貯水池の建設が進められ、徴税制度の強化も行われました。この増えた収入により、軍の拡張が図られ、傭兵が加入するなどして、軍備や防衛体制が強化されていきました。

結末と後継者

1356年、ハリハラ1世は亡くなりましたが、彼には息子がいなかったため、弟のブッカがその跡を継ぎ、ブッカ1世となります。これにより、サンガマ朝は引き続き南インドにおいて重要な存在感を持ち続け、ハリハラの計画が引き継がれていくことになりました。

彼の治世はヴィジャヤナガル王国の基盤を築くだけでなく、後の南インドの歴史に大きな影響を与えました。

もう一度検索