ハーニー盆地

ハーニー盆地

ハーニー盆地は、オレゴン州南東部に位置する広大な盆地（内陸流域）であり、グレートベースンの北西端に位置しています。アメリカ合衆国本土の中でも最も人口密度の低い地域の一つであり、その大部分はハーニー郡に属しています。この盆地は、北と東でコロンビア川台地と接し、南と西には火山によって形成された平地が広がっています。総面積は約3,859平方キロメートルに及び、マルヒュア湖とハーニー湖という二つの主要な湖を含んでいます。

地理

盆地の中央部は年間降水量が約150ミリ程度と非常に乾燥していますが、周辺の山々では年間約380ミリの降水があります。盆地中央部は平坦で、マルヒュア湖とハーニー湖が点在しています。周囲の山々からの降水は、北からシルビー川、南からドナー・ウント・ブリッツェン川を通じてハーニー湖に流れ込んでいます。ハーニー湖はかつてマルヒュア湖と繋がっていましたが、現在は砂丘によって隔てられています。これらの湖は降水量によって水量が大きく変動し、多雨の年には開水域となりますが、少雨の年には沼地となります。

マルヒュア湖とその周辺は湿地帯となっており、250万羽ものカモを含む数多くの渡り鳥が生息する重要な生息地です。この地域はマルヒュア国立野生動物保護区にも指定されており、自然保護の観点からも重要な場所となっています。

ハーニー盆地火山平地

バーンズ周辺には、流紋岩、凝灰岩、火山灰などから構成されるハーニー盆地火山平地が広がっています。この地域はハイ・ラバ・プレーンズの一部として知られています。

ハーニー湖・マルヒュア湖分水界

ハーニー盆地は、グレートベースン内でハーニー湖・マルヒュア湖分水界を形成しており、その面積は約3,700平方キロメートルに及びます。この分水界には、マルヒュア湖に流れ込むドナー・ウント・ブリッツェン川の流域（約1,980平方キロメートル）が含まれており、そのうち約760平方キロメートルはマルヒュア国立野生動物保護区に指定されています。

歴史

ハーニー盆地は、約3万2千年前に発生した火山噴火によって、スネーク川の支流であるマルヒュア川流域との間に分水嶺が形成されたことで誕生したと考えられています。考古学的研究によれば、1万年前には既に人類がこの地域に生活していたことが示唆されています。

花粉の記録から、少なくとも更新世の終わりまではこの地域の降水量が比較的多かったことがわかっています。また、遺物調査からは、コイ科やサッカー科の魚がこの地域で捕獲されていたことが判明しており、これらの魚はコロンビア川流域でしか見られないため、ハーニー盆地がかつてはコロンビア川流域と繋がっていたことが示唆されます。当時、マルヒュア湖の水深は7.6メートルに達し、分水界が孤立していなかったと考えられますが、現在では約3.0メートルにまで低下しています。

19世紀には、この盆地には北パイユート族が居住していました。1820年代には、ハドソン湾会社の罠猟師たちがこの地域を探検しました。この地域はオレゴン・トレイルからは大きく離れていましたが、1845年に登山家のスティーブン・ミークがザ・ダルズへの短絡路を発見した際に発見されました。

19世紀後半には、厳しい気候のため、パイユート族もこの地を離れるようになりました。しかし、他の地域におけるパイユート族との対立を避けるため、1872年にオレゴン州知事ユリシーズ・S・グラントがマルヒュア郡周辺にパイユート族の居住区を策定しました。しかし、周辺山脈での金の発見により居住圧力が高まり、インディアン事務局は1879年にこの居住区を廃止しました。北パイユート族は、1935年にバーンズ周辺の土地を取得するまで、土地の権利を剥奪された状態でした。

人口と経済

2010年の国勢調査によると、オレゴン州ハーニー郡の人口は7,422人であり、マルヒュア湖の北に位置するバーンズが唯一1,000人を超える集落です。郡の経済は、マルヒュア湖から得られるわずかな灌漑用水を利用した乾燥農業に依存しています。

外部リンク

ウィキメディア・コモンズ：ハーニー盆地関連カテゴリ
USFWS: Archaeology in the Malheur National Wildlife Refuge - 合衆国魚類野生生物局の紹介ページ
Oregon Magazine: Harney Basin - オレゴン州の観光サイト
John Day Fossil Beds: History

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