バイジュ (ジャライル部)

バイジュの生涯と功績

バイジュ（大徳2年（1298年） - 至治3年8月4日（1323年9月4日））は、大元ウルス中期の重臣であり、モンゴル・ジャライル部に属していました。彼はモンゴル帝国建国の功臣ムカリの子孫で、クビライ時代の有力政治家アントンの孫にあたります。漢文史料では「拝住」とも書かれます。

幼少期とキャリアの始まり

バイジュは幼い頃に孤児となり、その後の人生は皇帝に仕える道を選びました。至大元年（1308年）、彼はケシクテイ（宿衛）の長に任命され、王宮での役割を果たし始めます。アユルバルワダが即位した後の延祐2年（1316年）、資善大夫及び太常礼儀院使としてその地位をさらに高めました。次第に昇進し、延祐6年（1320年）には開府儀同三司にまで至ります。

政治の中心に

その後、シデバラが皇帝に即位すると、バイジュは中書平章政事として政治の中枢に関わることになりました。さらに後には中書左丞相という地位に昇進し、権力を強化しました。当時、中書右丞相のテムデルが政治を独占していたため、バイジュはその勢力を抑える役割を担いました。テムデルの死後、彼は三公に昇進する権利を得ましたが、これを辞退しました。

暗殺とその後の栄光

しかし、政局は不安定であり、テムデルの養子である御史大夫タクシがイェスン・テムルを擁立しようとし、シデバラを暗殺しました。このとき、バイジュもその場にいたために共に命を落としました。この事件は「南坡の変」として知られています。

至治3年（1323年）8月4日の悲劇が起こった後、バイジュはその忠誠心が認められ、追贈として太師や開府儀同三司、さらに上柱国の地位を与えられました。彼には東平公の称号も授けられ、「忠献」として追諡されました。バイジュの一人息子であるトゥレル・テムルは後に明朝に仕官し、新たな土地へ移住しました。その子孫はその地域の有力な地位を築いていったとされています。

子孫について

バイジュの子ヤナシュリは、彼の影響を受けて成長しました。ヤナシュリは後にトゥレル・テムルを名乗り、ケシクテイで第3班長を務めました。彼は大元ウルスの最後の皇帝であるウカアト・カアン（順帝トゴン・テムル）にも仕官し、バイジュを称える神道碑を建立したことが知られています。これにより、バイジュの家系は歴史の中に残り、今もその影響が感じられています。

あとがき

バイジュの存在は、モンゴル帝国の歴史において重要なものであり、彼が担った役割はその後の政局にも大きな影響を与えました。彼の生涯は、その時代の複雑さと生き様を反映したものです。このように、政治の発展と家族の歴史を通じて、バイジュの名は今なお語り継がれています。

もう一度検索