バチカン写本

バチカン写本の概要

バチカン写本（Codex Vaticanus）は、4世紀に作成されたギリシア語の聖書写本であり、その重要性から聖書研究において欠かせない資料です。この写本は、旧約聖書と新約聖書を含む主要な部分を網羅しており、特に希少性の高い古代文献の一つとされています。

構造と特徴

バチカン写本は、759葉からなる冊子本（コデックス）の形式で、羊皮紙に書かれています。文字はアンシャル体（大文字）で表記されており、このスタイルは時代を反映した特徴的なものです。特に、写本の分類記号はB、または03として知られています。この識別子は、文章の整理や研究の際に非常に便利です。

歴史的背景

この写本は、シナイ写本、アレクサンドリア写本、エフライム写本と並び、現存する四大ギリシャ語写本の一つとして位置づけられています。このため、バチカン写本は、聖書の伝承や歴史的な流れを理解する上で重要な役割を果たしています。1475年からはバチカン図書館のコレクションに加えられ、この歴史ある図書館の中で貴重な資料として保管されています。

含まれる内容

バチカン写本には、七十人訳聖書のほぼ全巻が含まれており、マカバイ記第1から第4、マナセの祈りを除く内容です。また、新約聖書においては、4福音書、使徒行伝、一部のパウロ書簡、さらにヘブライ人への手紙の一部も収録されています。ただし、一部の手紙（テモテへの手紙一、二、テトスへの手紙、フィレモンへの手紙）は欠けており、ヨハネの黙示録も含まれません。これらの不完全さは、後に15世紀の写本によって補完されています。

重要性

バチカン写本は、新約聖書の写本の中でも特にアレクサンドリア型の最古層かつ代表的な例とされています。そのため、本文批評においても非常に高い評価を受けており、今なお多くの研究者にとって欠かせない資料となっています。旧約聖書の部分においても、七十人訳聖書としては極めて古い写本であり、その存在は聖書学の発展に大きな影響を与えています。

結論

バチカン写本は、古代の希少な聖書資料として、その脚本の美しさとともに、その歴史的重要性をもって学問に寄与し続けています。聖書の正確性や伝承を探求する上で、バチカン写本は欠かせない基盤を提供しているのです。

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