バルク書

『バルク書』は、ユダヤ教とプロテスタントの一部の教派では外典として扱われる一方で、カトリック教会や正教会では旧約聖書の一部として認められている書物です。その名前は、預言者エレミヤの書記官であったバルクに由来しています。この書は、知恵を称え、律法が知恵であると説く点で、『知恵の書』や『シラ書』と共通する特徴を持っています。

構成としては、全5章から成り立っており、ウルガタ聖書や欽定訳聖書では、「エレミヤの手紙」が第6章として付加されることがあります。七十人訳聖書では、エレミヤ書、バルク書、エレミヤの哀歌、エレミヤの手紙の順に並べられていますが、ウルガタ聖書では、エレミヤ書、エレミヤの哀歌、バルク書の順で配置されています。欽定訳聖書では、外典の集会の書（シラ書）の次に置かれています。

書の内容は、大きく分けて以下の四つの部分から構成されています。

1. 序言（1:1-1:9）: 書の背景や目的が語られています。
2. エルサレムへの手紙（1:10-3:8）: 捕囚の民に対する慰めや、エルサレムへの帰還を促す内容が含まれています。
3. 知恵の賛美（3:9-4:4）: 知恵を神から与えられたものとして称賛し、律法が知恵そのものであると説いています。
4. エルサレムへの励まし（4:5-5:9）: 苦難の中にあるエルサレムの民を励まし、希望を与える内容となっています。

『バルク書』は、その歴史的な背景や文学的な特徴から、様々な解釈がなされてきました。特に、知恵文学的な側面は、その後のキリスト教神学にも影響を与えたと考えられています。

また、『バルク書』とは別に、「バルクの黙示録」と呼ばれる「第2バルク書」と「第3バルク書」、そして「バルクの残余のことば」に分類される「第4バルク書」が存在します。これらの書は、偽典として分類されており、『バルク書』とは異なる内容を持っています。これらの偽典は、黙示文学的な性格が強く、終末論的な内容や、天界の幻視などが描かれています。

このように、『バルク書』は、旧約聖書の中でも特異な位置を占める書物であり、その内容や構成は、キリスト教の歴史や神学を理解する上で重要な手がかりとなっています。

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