パット・エデリー

パトリック・ジェームズ・ジョン・エデリー、愛称パット・エデリーは、1952年3月18日アイルランドのキルデア県に生まれました。1967年のデビュー以来、イギリス競馬界を席巻した伝説的な騎手です。

エデリーは卓越した騎乗技術で知られ、イギリスの平地競馬において4632勝という驚異的な記録を樹立しました。これは、サー・ゴードン・リチャーズに次ぐ偉大な記録であり、彼の類まれな才能を物語っています。さらに、エプソムダービーを3勝、そしてレスター・ピゴットと並ぶ11度のチャンピオンジョッキーの称号を獲得しました。これらの輝かしい功績により、ブリティッシュ・チャンピオンズシリーズ名誉の殿堂入りを果たしています。

彼の活躍はイギリスにとどまりませんでした。国際的な舞台でも数々の栄光を手にしています。1985年にはペブルズに騎乗してブリーダーズカップ・ターフを制覇し、1986年にはジャパンカップでジュピターアイランドを勝利に導きました。1987年にはワールドスーパージョッキーズシリーズにも参戦するなど、世界中から注目を集める騎手として活躍しました。1991年にはシェイクアルバドゥとのコンビでブリーダーズカップ・スプリントを制覇するなど、国際的な舞台でもその実力を遺憾なく発揮しました。

これらの数々の勝利に加えて、イギリスの主要競走でも圧倒的な強さをみせつけました。1000ギニー、2000ギニー、エクリプスステークス、オークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなど、数え切れないほどのG1競走を制覇しています。その卓越した技術と勝負強さで、多くの名馬を勝利へと導きました。

数々の栄誉にも輝きました。1990年、1991年、そして1996年にはレスター賞最優秀平地騎手賞を受賞。さらに、2002年と2003年には平地騎手特別賞も受賞しました。

2003年、平地シーズンの終了とともに騎手を引退。しかし、競馬界への貢献はここで終わりませんでした。2005年7月、調教師ライセンスを取得し、アイルズベリ近郊にマスクヒル・スタッドファームを開設。40頭の馬を預かる厩舎を運営し、調教師としても成功を収めていきました。

調教師としてのキャリアも順調で、2006年には初勝利を挙げます。芝コースでの初勝利も2歳牝馬Cavortとのコンビで飾るなど、騎手時代同様、類まれな才能を発揮しました。

エデリーの競馬界における貢献は、彼自身の卓越した才能だけでなく、彼の家族にも見出すことができます。彼の父ジミー・エデリー、実弟のポール・エデリーも騎手として活躍しており、競馬一家として名高く、その血筋は競馬界に大きな影響を与え続けました。また、妻キャロリンは、名騎手マニー・マーサーの娘であり、ジョー・マーサーの姪、ハリー・ラッグの孫娘という競馬界の名家の出身でもあります。

2005年にはOBE（大英帝国勲章）を受章し、その功績がイギリス政府によって称えられました。

2015年11月10日、63歳という若さでこの世を去りました。レーシング・ポスト紙が彼の死を報じ、競馬界に衝撃が走りました。彼の死は、競馬界に大きな損失をもたらしましたが、彼の功績は永遠に人々の記憶に刻まれるでしょう。パット・エデリーは、多くの競馬ファンにとって、永遠の英雄であり続けるでしょう。

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