パナソニック PX

パナソニック カセットテープ「PX」シリーズの軌跡

「PX」は、かつてパナソニック（旧松下電器産業）が展開していたノーマルポジション用コンパクトカセットテープのブランド名です。このブランドには、カラオケ専用の「KX」も存在し、一部は「ZETAS」シリーズにも含まれていました。現在では既に販売を終了していますが、その歴史と技術的な背景は興味深いものです。

PXシリーズの展開

2023年現在、PXおよびKXの製品はすべて終売となっています。最後に販売されていたのは、RT-30PXA、RT-60PXA、RT-90PXA、RT-10KXAといったモデルで、これらはパナソニックショップでのみ注文・購入が可能でした。これらの製品はカタログには掲載されておらず、代替品としての扱いでした。

PXシリーズの前身は「NX」であり、その後、ベーシックな「PX」に加え、音楽用の「PX-I」（標準LH級）、ハイポジションの「PX-II」がラインナップされました。「PX-I」はTDKのSuper CDing IのOEM、「PX-II」はTDKのSuper CDing IIのOEMでした。製品後期には、ハーフの形状に若干の違いが見られ、「PX-I」の方がより丸みを帯びていました。

「PX-I」と「PX-II」のさらに前身は、それぞれ「GX」と「HX」であり、「GX」はTDK AD → TDK AD1のOEM、「HX」はTDK SR → TDK AD2のOEMでした。

「KX」は「PX」と同一の磁気テープを使用しており、一部製品は韓SKC社からのOEM供給を受けていました。

使用テープの変遷

「PX」に使用されていた磁気テープは、時期によって供給元が異なります。2007年12月以前に出荷された製品はTDKマーケティング製、2008年1月から2011年12月までに出荷された製品はイメーション（現：韓オージン社）製のTDK AEをOEM供給を受けていました。最末期には、2011年のタイ洪水による製造工場の操業停止とイメーションの磁気テープ事業撤退に伴い、2012年7月以降は日立マクセル（現：マクセル）のUR(UR-L)のOEMに切り替わりました。このマクセル製のテープは、磁性体とベースフィルム（磁気テープ本体）に韓国製のものが使用され、製品の組み立てはインドネシアで行われていました。

一方、「PX-I」にはTDKのAD1およびSuper CDing Iと同一のテープが、「PX-II」にはTDKのAD2およびSuper CDing IIと同一のテープが使用されていました。これらの製品は2001年12月までに生産を終了しています。

出典情報

この解説は、以下の資料に基づいています。

2003年度パナソニックメディア総合カタログ
2000年度パナソニック商品カタログ(小売店用)
パナソニックHPの商品情報
ONTOMO MOOK stereo編 カセットテープ完全アルバム 僕たちの青春を彩ったカセットテープのすべて（音楽之友社、2023年12月1日発行）ISBN 978-4-276-96368-9

関連事項

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ノーマルポジション
* コンパクトカセット

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