TDK AE

TDK AE (アコースティック・エクセレンス) について

TDK AEは、1986年2月から2007年12月までTDKが、その後2008年1月から2011年7月までイメーション（TDK Life on Recordブランド、現：韓オージン社）が日本市場向けに製造していた、音楽録音および一般録音用途兼用のコンパクトカセットテープの商品名です。

概要

AEは、ノーマルポジションの低級タイプであるLH（Low-Class Low Noise High-Output）グレードに位置づけられ、音楽録音と一般録音の両方に適した設計がなされていました。

この製品は、1983年9月から1986年1月まで販売されていた4代目D（Dynamic）と、1984年2月から1986年1月まで販売されていたDS（Dynamic Spirit）の後継モデルとして登場しました。磁性体には、AEのために新開発されたピュア・グレインドフェリック磁性体が採用されており、従来のDやDSを凌駕する高音質を実現していました。

当初、AEは日本国内で生産されていましたが、150分用（片面75分）の磁気テープ本体部分を除き、1996年以降はタイでの海外生産に切り替えられました。しかし、2011年7月にタイで発生した大洪水の被害により、同社の音楽録音専用カセットテープであるCDing1・CDing2（ノーマルポジション専用とハイポジション専用）と共に、製造と出荷が終了しました。2014年末までには、流通在庫も全て販売終了となりました。

AEは基本的に日本国内専用の商品名でしたが、海外ではFE（Ferric）、A（Acoustic）、D（Dynamic）などの名称で販売されていました。

また、AEをベースに磁性体を調整し、音楽録音に特化した派生製品として、DelaやB（Brilliant）などが存在していました。

TDK AEを使用したOEMの一覧

AEは、他社製品のOEMとしても採用されていました。

松下電器産業 → パナソニック（初代法人、現・パナソニックホールディングス）
Panasonic NX
Panasonic PX - 2011年7月製造・出荷分まで。2012年以降はマクセル UR（UR-L後期ロット品）のOEMに変更されました（2016年販売終了）。

注

AEは、TDKが長年培ってきた技術とノウハウを結集した製品であり、その高音質と安定性から多くのユーザーに支持されました。
タイでの洪水被害により生産が終了したことは、カセットテープ市場の縮小とともに、時代の変化を感じさせる出来事でした。

参考文献

FUTABASHA SUPER MOOK 〜TDKカセットテープ・マニアックス〜 - 2023年8月7日発行（双葉社） ISBN 978-4-5754-5945-6
ONTOMO MOOK stereo編 カセットテープ完全アルバム 僕たちの青春を彩ったカセットテープのすべて - 2023年12月1日発行 （音楽之友社） ISBN 978-4-276-96368-9

関連項目

マクセル UR - AEの競合製品。現在も製造・販売が続けられています。
ソニー HF - AEの競合製品。長らく自社製造されていましたが、2010年末までに自社での製造を終了。最末期（2012年 - 2015年）にはマクセルのULのOEMとして販売されました。
ビクター RZ - AEの競合製品でした。
* AXIA A1 - AEの競合製品でした。

AEは、その音質と信頼性で、多くの音楽ファンや録音愛好家から愛されたカセットテープです。その歴史は、カセットテープの進化と衰退を象徴する出来事としても語り継がれています。

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