パルヒム型コルベット

パルヒム型コルベット：冷戦下の対潜戦力

パルヒム型コルベットは、ドイツ民主共和国（東ドイツ）が開発した対潜コルベットであり、冷戦時代にワルシャワ条約機構（WTO）のバルト海における対潜戦力として重要な役割を担いました。東ドイツ海軍（人民海軍）で運用されたほか、ソ連海軍でも「133号計画艦」として採用されました。

開発の背景

冷戦時代、WTOはバルト海を渡って北大西洋条約機構（NATO）の北東側面を攻撃する計画を立てていました。これに対抗するため、NATOは通常動力型潜水艦を整備し、特に西ドイツは高性能なUボートを開発・配備していました。WTOは、これらの潜水艦戦力を駆逐し、バルト海での作戦を円滑に進めるための沿岸対潜戦力を必要とし、その要求に応える形でパルヒム型コルベットが開発されました。

設計と装備

パルヒム型コルベットの船体は、一般的なステンレス鋼で作られています。主機関にはソ連製のM504 6気筒ディーゼルエンジン3基を搭載しており、それぞれが推進軸に接続されています。中央の1基は可変ピッチプロペラを使用した巡航用、両側の2基は固定ピッチプロペラを使用した加速用で、合計出力は14,250馬力です。

武装は、同世代のWTO海軍艦艇で標準的なものが採用されています。対潜兵器としては、RBU-6000対潜ロケット発射機を2基搭載し、それぞれ96発の弾薬を搭載していました。また、通常型爆雷も搭載されていました。

防空兵器としては、AK-725 57mm連装砲を1基搭載しています。これはソ連海軍が1960年代初頭から使用している高射砲です。近接防空ミサイルとしては、9K32連装発射機を搭載していますが、手動による射撃指揮であり、射程や精度はソ連海軍の小型対潜艦に搭載されていた4K33 オサーM個艦防空ミサイルシステムには劣っていました。また、30mm連装のAK-230も搭載されており、CIWSとしてもある程度の効果が期待できましたが、対艦ミサイルを迎撃できるほどの能力はありませんでした。そのため、対艦ミサイル防御は非常に脆弱でした。

運用

1番艦は1981年4月9日に進水し、1986年までにさらに15隻が建造されました。また、量産効果を高めるため、ソ連海軍も準同型艦を発注し、「パルヒム-II型」として1986年から1990年にかけて12隻が建造されました。しかし、ソ連海軍ではより大型で強力なグリシャ-V型コルベットの配備が進められていたため、追加発注は行われませんでした。

1990年のドイツ再統一により、東ドイツ海軍は西ドイツ海軍に統合され、パルヒム型コルベットの存在意義は失われました。そのため、東ドイツ海軍が運用していた16隻は退役することになりました。

1992年、ドイツ政府はこれらの16隻をインドネシア政府に1270万ドルで売却しました。インドネシア海軍は、島嶼が多く比較的浅い海域での対潜作戦能力を求めており、パルヒム型コルベットの設計はその目的に合致していました。インドネシア海軍では、空調設備の強化、エンジンの換装、フランス製のミストラル近接防空ミサイルへの換装などの改修を受け、「カピタン・パチムラ級コルベット」として再就役しました。

現在、ロシア海軍では、パルヒム-II型8隻がバルチック艦隊で運用されています。

参考文献

Conway's all the World's Fighting Ships 1947-1995
Page from FAS
Rainer KutzschによるVolksmarineに関するドイツのサイト
http://www.navweaps.com/ (パルヒムの砲撃に関する情報)
* All Parchim Class Corvettes - Complete Ship List

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