パーソナルコンピュータ史

パーソナルコンピュータの歴史

パーソナルコンピュータ（PC）の歴史は、1960年代の構想から始まり、8ビットマイクロプロセッサの登場によって個人でも利用可能な機器へと進化を遂げました。本稿では、アメリカと日本のPC史を時系列に沿って解説します。

アメリカにおけるパーソナルコンピュータの歴史

1960年代には、「パーソナルコンピュータ」という概念が既に存在していました。しかし、実用的な個人向けコンピュータが登場するのは1970年代に入ってからです。IBM 5100やHP-9800シリーズなどの卓上型コンピュータは高価であり、大企業が中心に利用されていました。

転機となったのは、1975年に『ポピュラーエレクトロニクス』誌で紹介されたMITSのAltair 8800です。この8080マイクロプロセッサ搭載の小型コンピュータは、拡張ボードによる機能拡張が可能で、後のPC発展の基礎となりました。Altair 8800の成功は、多くのエンジニアやアマチュアが自作PCに取り組む契機となり、市場の活性化に繋がりました。

1976年には、Apple Iが登場します。大学生だったスティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズによって開発されたこのマシンは、キット形式ながら革新的な設計で注目を集めました。翌年のApple IIでは、完成品として販売されたことで、一般ユーザーへの普及が大きく進みました。Apple IIは、BASICインタプリタ内蔵、カラービデオ出力、拡張性など、現代PCの基本的構成を備えており、VisiCalcなどのキラーアプリケーションの登場も相まって、ビジネス用途でも広く使われるようになりました。

1977年には、Apple、Tandy RadioShack、Commodoreの3社が市場を牽引する存在となりました。その後、AtariやSinclair Researchなど多くの企業が参入し、激しい競争が展開されました。

1981年にIBMが参入すると、市場は新たな局面を迎えます。IBM PCは、オープンアーキテクチャを採用していたため、多くの互換機が開発されました。この互換機市場の拡大は、PCの普及をさらに加速させました。IBMは、PC/XT、PC/ATといった後継機を発表し、PC/AT互換機|PC_AT互換機が事実上の業界標準となりました。

一方、Appleは、Apple IIIの失敗、Lisaの高価格化などの苦い経験を経て、1984年にMacintoshを発売し成功を収めます。しかし、クローズドアーキテクチャを採用したため、互換機市場は存在しませんでした。

1990年代には、PCのネットワーク機能が向上し、ワークステーションとの境界が曖昧になりました。WindowsとPC/AT互換機|PC_AT互換機の組み合わせであるWintelが市場を支配し、PCのコモディティ化が進みました。これは激しい価格競争をもたらし、多くのメーカーが淘汰されていきました。最終的に、IBMはPC事業をレノボに売却しました。Appleは、垂直統合ビジネスモデルを維持することで、高い利益率を確保し続けたのです。

日本におけるパーソナルコンピュータの歴史

日本におけるPCの歴史も、アメリカと同様に、アマチュアによる自作機から始まりました。1970年代には、東芝のTLCS-12A EX-0やNECのTK-80といったワンボードマイコンが登場し、マイコンブームを巻き起こしました。

その後、ソード電算機システム（現：東芝パソコンシステム）のM200シリーズ、日立のMB-6880、シャープのMZ-80K、NECのPC-8000シリーズといった8ビットPCが発売され、市場は拡大していきました。これらのPCは、ROM-BASICを搭載し、手軽にプログラミングできる点が特徴でした。

8ビットPC時代には、NEC、シャープ、富士通が市場をリードしました。また、MSX規格の登場も、市場の活性化に貢献しました。しかし、ゲーム機の台頭、16ビットPCの登場により、8ビットPCは衰退していきました。

1980年代には、PC-9800シリーズが16ビットPCとして市場を席巻しました。MS-DOSの採用も、この時代の重要な出来事です。ビジネス用途を中心に普及しましたが、家庭用ゲーム市場は、任天堂のファミリーコンピュータが席巻しました。

1990年代になると、32ビットPCが登場し、Windowsの普及によりPC/AT互換機|PC_AT互換機が主流となりました。これにより、日本独自の規格のPCは衰退し、PC-9800シリーズも生産を終了しました。

2000年代以降は、64ビットPCが主流となり、PCはますます高性能化、多機能化していきました。同時に、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の台頭も、PC市場に大きな影響を与えています。

まとめ

パーソナルコンピュータの歴史は、技術革新、市場競争、社会情勢といった様々な要素が複雑に絡み合って発展してきたと言えるでしょう。今後も、新たな技術革新や社会の変化に対応しながら、PCは進化を続けていくものと予想されます。

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