パームビーチ国際空港

パームビーチ国際空港：歴史と現在

パームビーチ国際空港（IATA: PBI, ICAO: KPBI）は、フロリダ州パームビーチ郡ウェストパームビーチ西部に位置する公共空港です。ウェストパームビーチ、ボカラトン、パームビーチ、および周辺地域にとって主要な空港であり、マイアミ都市圏の主要3空港の一つでもあります。

空港へのアクセス

空港は州間高速道路95号線、州道80号線、コングレス・アベニュー（州道807号線）と直接接続しており、西側にはミリタリー・トレイル（州道809号線）が面しています。これにより、車でのアクセスが非常に便利です。

歴史

1936年、モリソン・フィールドとして開港したのがパームビーチ国際空港の始まりです。この名前は、飛行場の計画と組織化に貢献したグレイス・K・モリソンを称えて名付けられました。最初のフライトはイースタン航空のダグラスDC-2によるニューヨークへの便でした。

第二次世界大戦中の軍事利用

第二次世界大戦中、空港はアメリカ陸軍航空軍によって使用されました。真珠湾攻撃後、モリソン・フィールドは軍の訓練に使用され、ノルマンディー上陸作戦に参加する航空機の中継基地としても重要な役割を果たしました。また、ブラジルと西アフリカを経由してインドへ向かう航空機の中継地点にもなっていました。

空軍基地から国際空港へ

1947年、アメリカ空軍はモリソン・フィールドをパームビーチ郡に返還し、1948年にはパームビーチ国際空港に改名されました。1951年には、米軍航空輸送部隊（MATS）の指揮下で再びアメリカ空軍が使用することになり、パームビーチ空軍基地と改名されました。空軍は敷地の北半分を使い、民間業務と航空会社のターミナルは南半分を使用しました。MATSはC-124 グローブマスター、C-118 リフトマスター、C-97 ストラトフレイター、C-54 スカイマスターなどの訓練にこの基地を用いました。朝鮮戦争中には、ここで約23,000人が訓練を受けました。

航空気象部もパームビーチ空軍基地をハリケーン研究の本部として使用し、1956年には最初のWB-50 スーパーフォートレスを飛行させました。長年の議論の結果、空軍は1959年に基地を閉鎖し、パームビーチ郡は空港の運営を取り戻しました。その後、ハリケーンや気象の研究を行う第9気象群が駐留し、空撮作図部も移転しました。1962年にパームビーチ空軍基地は完全に閉鎖され、すべての施設がパームビーチ国際空港に譲渡されました。

民間航空の発展

1959年にデルタ航空、1960年にキャピタル航空が定期便を開始しました。イースタン航空は初のターボプロップ機ロッキードL-188を導入し、1960年にはDC-8でニューヨーク（現JFK空港）へのノンストップ便を開始しました。

1960年代初頭には、ジョン・F・ケネディ大統領のエアフォースワンが頻繁にパームビーチ国際空港に飛来しました。1966年には、8つのゲートを持つメインターミナルが空港北東部に開業し、1974年にはデルタ航空が搭乗橋を備えたターミナルを初めて使用しました。

1970年代中頃には、デルタ航空、イースタン航空、ナショナル航空が主要な航空会社となり、イースタン航空はL-1011をニューヨークのJFKとニューアークに毎日運航していました。1979年には、ナショナル航空がDC-10をJFK、ラガーディア空港、マイアミ空港へ、イースタン航空はL-1011をアトランタ空港へ、デルタ航空はL-1011をタンパ空港へ飛ばしていました。

近年の拡張と変化

1988年には、25基のゲートを持つデイビット・マキャンベル・ターミナルが開業しました。2003年には、コンデナスト・トラベラー誌の読者投票で国内最良の空港に選ばれました。その後、州間高速道路95号線のインターチェンジが新しくなり、空港へのアクセスが改善されました。

1990年代には、フォートローダーデール空港との競争や2001年の景気後退、9.11テロの影響で成長が鈍化しましたが、2002年以降は南フロリダの開発により乗客数が急増しました。その後、ジェットブルー航空やサウスウエスト航空のような低価格航空会社も就航を開始しました。

2006年以降、パームビーチ郡は拡張計画を開始し、駐車場や新しいゲートの追加を行いました。広範囲な拡張計画には、コンコースBへのゲート追加や新コンコースDの建設が含まれています。2016年の選挙でドナルド・トランプが大統領に選出されたことで、エアフォースワンの飛来が再び頻繁になりました。

空港施設

パームビーチ国際空港は総面積約7.6平方キロメートルで、以下の3本の滑走路があります。

10L-28R: 3,048 x 46 m (アスファルト)
10R-28L: 980 x 23 m (アスファルト)
14-32: 2,111 x 46 m (アスファルト)

2009年12月17日に滑走路番号が現在のものに変更されました。

各コンコースは以下の航空会社が利用しています。

コンコースA：バハマスエア、シルバー・エアウェイズ
コンコースB：エア・カナダ、アメリカン航空、サウスウエスト航空、サン・カントリー航空、ユナイテッド航空
コンコースC：デルタ航空、フロンティア航空、ジェットブルー航空、スピリット航空

管制塔

高さ73mの新しい管制塔が空港北側で運用されています。古い管制塔は空港南側に残っています。

ヘリコプター運用

ヘリコプターの運用は主に10R/28L滑走路かその平行誘導路で行われています。パームビーチ郡保安官事務所の航空部門と、パームビーチ郡のヘルスケア部門がトラウマホークと呼ばれる救急ヘリを運用しており、それぞれ格納庫があります。

その他の施設

ゼネラル・アビエーションのFBOや格納庫が空港南端に並んでいます。消防救急は、滑走路間の空港中心に位置する消防署に13機の消防機器を保有しています。

航空会社と就航地

[旅客便および貨物便の情報は省略]

統計

[就航地別、航空会社の市場シェア、年間旅客数の統計情報は省略]

公共交通機関

パームビーチ国際空港へのアクセスには、鉄道（アムトラック、トリレール）やバス（パーム・トラン）が利用可能です。

論争

FAAは新しい管制塔建設に合わせて航空管制官をマイアミ国際空港に移転する計画を発表し、反対運動が発生しました。また、ドナルド・トランプは滑走路拡張やマー・ア・ラゴ上空の航空路に関して訴訟を起こしました。

事故・インシデント

パームビーチ国際空港では、以下の事故・インシデントが発生しています。

2008年1月30日：アメリカン航空機が緊急着陸。
2010年11月11日：パイパーPA-44が離陸中に墜落。
2012年10月25日：スピリット航空機がエンジン停止により緊急着陸。
2014年3月24日：デルタ航空機が油圧系統トラブルにより緊急着陸。
2016年7月21日：アメリカン航空機が油漏れにより緊急脱出。

関連項目

第二次世界大戦時のフロリダの陸軍飛行場
* 南フロリダの交通

参照

[外部リンク情報省略]

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