ヒホン国際映画祭

ヒホン国際映画祭（El Festival Internacional de Cine de Gijón）は、1963年に創設されたスペインで最も歴史のある映画祭の一つです。毎年11月にアストゥリアス州の港町ヒホンで開催され、国際映画製作者連盟（FIAPF）にも公認されています。この映画祭は、釜山国際映画祭やシッチェス・カタロニア国際映画祭などと並ぶ、コンペティティブ・スペシャライズド長編映画祭として知られ、特に新進気鋭の映画監督の発掘と育成に力を入れています。

特徴と魅力

ヒホン国際映画祭の大きな特徴は、独立系映画界の著名な専門家たちが数多く参加している点です。過去には、アッバス・キアロスタミ、アキ・カウリスマキ、トッド・ヘインズ、ペドロ・コスタ、ポール・シュレイダー、エミール・クストリッツァ、アミール・ナデリ、鈴木清順、ケネス・アンガー、ウルリッヒ・ザイドル、ハル・ハートリー、ツァイ・ミンリャン、クレール・ドニといった、世界的に評価の高い監督たちが参加しています。また、ジョン・ケイルやマリア・シュナイダーなどの著名な映画関係者が国際審査員を務めることもあり、映画祭の各セクションで作品が紹介されたり、賞が授与されたりしています。

映画祭期間中は、監督とのミーティングやコンサート、音楽ライブパーティーなど、様々なイベントが開催され、映画ファンにとっては見逃せない機会となっています。さらに、映画祭では複数のコンペティション部門が設けられており、国際審査員、ユース審査員、国際批評家連盟（FIPRESCI）審査員による審査が行われ、各賞が授与されます。

近年の動向

近年では、ホン・サンス監督作品が頻繁に受賞しており、『夜の海岸で一人』では主演女優賞を、そして『川沿いのホテル』では最優秀作品賞、脚本賞、最優秀男優賞の三冠を達成しました。さらに、2021年には『あなたの顔の前に』が審査委員特別賞を受賞するなど、注目を集めています。

日本映画の上映と受賞

ヒホン国際映画祭では、日本映画も積極的に上映されており、過去には数々の作品が選出、受賞しています。

1998年：塚本晋也監督の『バレット・バレエ』がオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門で上映されました。
2001年：鈴木清順監督の『ピストルオペラ』が招待上映されました。
2005年：小栗康平監督の『埋もれ木』がオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門で上映されました。
2009年：小林政広監督の『ワカラナイ』がオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門で上映されました。
2012年：小林啓一監督の『ももいろそらを』がオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門でグランプリを受賞しました。
2020年：諏訪敦彦監督の『風の電話』がAlbarオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門で上映されました。
2023年：濱口竜介監督の『悪は存在しない』とヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』がCrossroads部門で特別上映されました。
2024年：金子雅和監督の『光る川』がRetueyosオフィシャル・コンペティション国際長編映画部門でユース審査員最優秀長編映画賞を受賞しました。

ヒホン国際映画祭は、スペインにおける映画文化の重要な一翼を担っており、国際的な映画交流を促進する場として、その役割はますます大きくなっています。

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