ヒルビリー・ジム

ヒルビリー・ジム：WWFを沸かせたカントリーボーイ・レスラーの軌跡

1952年、ケンタッキー州ルイビルに生まれたジェームズ・モリスは、後にプロレス界で「ヒルビリー・ジム」として知られる存在となる。オーバーオール姿の農夫を思わせる風貌と、飾らない人柄で多くのファンを魅了した大型ベビーフェイス・レスラーだ。彼のキャリアは、1980年代中盤から1990年代初頭にかけてWWF（現WWE）で華々しく花開いた。

カナダでのキャリアとWWFデビュー

キャリア初期は本名ジム・モリスとして活動。カナダのスタンピード・レスリングで経験を積み、ミスター・ヒトや若き日のブレット・ハートらとタッグを組んで活躍した。その後、テネシー州メンフィスのCWAでは「ハーレー・ダビッドソン」というバイカー・ギミックで活動。ポークチョップ・キャッシュやランディ・サベージなど、後のスター選手たちとしのぎを削った。1984年12月、彼はWWFに登場。ここで、カントリーボーイをイメージした「ヒルビリー・ジム」として生まれ変わる。

WWFでの活躍とヒルビリー・ファミリー

WWFでは、ハルク・ホーガンの指導を受けたという設定のもと、アンドレ・ザ・ジャイアントとタッグを組んでキングコング・バンディ＆ビッグ・ジョン・スタッドらと激しい抗争を繰り広げた。1985年からは、アンクル・エルマー、カズン・ジュニア、カズン・ルークらと共に「ヒルビリー・ファミリー」を結成。リーダーとしてチームを牽引し、WWFを盛り上げた。

様々な対戦相手との死闘とセミリタイア後

シングルではドン・ムラコのマネージャー、ミスター・フジとの抗争も有名だ。タキシード・マッチという独特な試合形式で幾度となく激突した。レッスルマニアIIIやサバイバー・シリーズなど、WWFのビッグイベントにも数多く出場。ハルク・ホーガンやランディ・サベージらとチームを組んで、数々の伝説的試合を繰り広げた。

1990年代に入るとセミリタイアし、WWFのメディア部門で活躍。その後も、ザ・ゴッドウィンズのマネージャーとしてリングサイドに戻ったり、レッスルマニアX-Sevenのギミック・バトルロイヤルに出場したりと、プロレス界との関わりを続けた。2012年にはスマックダウンにレジェンドとして出演、往年のファンを沸かせた。

WWE殿堂入り

2018年、ヒルビリー・ジムはWWE殿堂入りを果たす。彼の独特のキャラクターと、WWFにおける貢献が認められた結果と言えるだろう。WWE殿堂入りセレモニーでは、ジミー・ハートがインダクターを務めた。

ヒルビリー・ジムのレガシー

ヒルビリー・ジムは、卓越したレスリングテクニックだけでなく、その個性的なキャラクターでWWF/WWEの歴史に名を刻んだ。彼の素朴で温かい人柄は、多くのファンを惹きつけ、今もなお語り継がれている。オーバーオール姿の農夫レスラーは、プロレス史上に燦然と輝く、忘れがたい存在として記憶されている。彼のレッグ・ドロップ、ビッグ・ブート、ベアハッグといった得意技は、多くのプロレスファンに今も語り継がれている。まさに、WWEそしてプロレスの歴史に名を刻んだレスラーと言えるだろう。

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